2022/08/01
歯を失ってしまうと食事や見た目に問題が発生するため、はやく治療を受けたいと感じる方も少なくありません。さまざまな治療があるなかで、審美面・機能面に優れているインプラント治療を検討する方も多いのではないでしょうか。
しかし、インプラント治療はよいと聞く反面「高い」「保険が効かない」と費用面に関する不安を抱える方がほとんどです。
そこで今回は、インプラント治療の費用について解説します。気になる保険適用の条件や、少しでも安く抑える方法もあわせて解説するので、インプラント治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
失った歯を補うためのインプラント治療は、原則健康保険が適用されません。そのため、治療費の全額負担になります。ただし、国が定めている公的医療制度に当てはまれば、健康保険が適用されるので負担額を3割に軽減できます。
そもそも保険診療とは、何らかの公的医療保険に加入していれば、国が定める疾患は少ない負担で治療を受けられる仕組みのことです。歯科では虫歯や歯周病の治療、入れ歯の作成などが保険診療で受けられ、インプラント治療や矯正治療などは適用外の自由診療です。
ただし、保険診療では使用できる材料や治療の範囲が限られており、より高度な治療や最新の技術を用いた治療は、健康保険が適用されないケースがあります。治療費の一部を国が負担する代わりに、治療範囲は選択できないようになっています。
インプラント治療では、一部の症例が健康保険の適用となります。しかし、健康保険を適用させて治療を受けるには、国が指定した条件を満たす必要があり、治療が終わってからだと適用されないケースがあるため注意しましょう。
ここでは、健康保険が適用される条件と、適用になる病院について解説します。
インプラント治療で健康保険が適用されるには、以下の条件を満たす必要があります。
自分がケアを怠ったことが理由の虫歯や歯周病による欠損では健康保険が適用されません。保険適用になるかどうかの判断は、医師の診断に任せるようにしましょう。
一般歯科では診断のための機材がそろっていないことも考えられるので、初診で訪れる際は「保険適用のインプラント治療が可能か診断してほしい」と伝えておくとスムーズに進むでしょう。
インプラント治療を保険適用されるには、上記で解説した条件を満たしたうえで、さらに以下の条件を満たす医療機関で治療を受ける必要があります。
これらの条件を満たす病院は、ほとんどのケースが大学病院などの設備が整っている規模の大きい医院です。一般歯科でインプラント治療を受けてしまうと、健康保険の適用外となってしまうので注意しましょう。治療を開始する前に、保険適用させることを医院に伝えておくと安心です。
インプラント治療で保険が適用されるのは、避けられない先天的な疾患や、他の疾患が原因でやむを得ず顎を切除した場合などです。以下のような場合では、保険が適用されないので注意しましょう。
インプラント治療の保険適用は、一般的な症例では適用されず「差し歯が抜けたから今度はインプラントにしたい」などの自己都合は認められません。
ただし、交通事故などで歯を失った場合、保険が適用されるのか、されないのか判断が難しいケースがあるため、治療を受ける前に必ず医師の診断を仰ぐようにしましょう。必要に応じてセカンドオピニオンを利用する方法のもよいでしょう。
インプラント治療にかかる費用は、30~60万円ほどです。ただし、使用するインプラント体や、顎の骨を増やす処置などの有無によって、費用に大きな差がでることもあります。最終的な費用について、しっかり確認しておきましょう。健康保険が適用される場合は、医療費の3割負担に抑えられます。
保険が適用されない場合のインプラント治療は高額で、経済面がネックになり治療を躊躇している方もいるでしょう。しかし、インプラント治療は少しのコツを押さえると、費用が安くなるケースがあります。
ここでは、インプラント治療の費用を安くする2つの方法を解説します。難しい内容ではないので、当てはまるものがある方は、ぜひ活用してください。
インプラント治療は、審美的な改善を目的としない治療の場合、医療費控除の対象です。医療費控除とは、一年間に支払った医療費が10万円(総所得が200万未満の場合は、総所得の5%)を超える場合、確定申告をすると支払った税金の一部が還付される制度です。支払った治療費によっては、数万~数十万円の還付が受けられるので、対象の方は申告しましょう。
◇医療費控除額の算出方法
支払った医療費の合計額-保険金などで補填される金額-※10万円=医療費控除額
※総所得が200万未満の場合は、総所得の5%
(医療費控除額は200万円まで。マイナスになる場合は申告できません)
◇還付額の算出方法
医療費控除額×所得税率=還付額
(所得税率は国税庁のホームページで確認できます)
支払った医療費の合計額には、生計をともにしている家族の医療費や、通院にかかった交通費もあわせられます。領収書がなくても申告できるので、メモなどに細かい記録を残しておきましょう。また、家族のなかでもっとも所得が多い方が申告すると、還付される金額が大きくなるのでお得に受け取れます。
インプラント治療は、本数が増えてしまうとその分費用も高額になってしまいます。失った部分のすべてをインプラント治療で補うのではなく、インプラント本数が少ない治療法を選択すると費用を抑えられるでしょう。
失った部分の一部をインプラント治療にし、残りは別の方法で歯を補えるか医師へ相談してみましょう。
また、4本のインプラントで歯を支えることができる「オールオン4」や、2~3本のインプラント固定源に入れ歯を装着する「インプラントオーバーデンチャー」は、そのインプラント本数が少なくできる代表的な治療法です。治療を検討できるか相談してみましょう。
インプラント治療の費用を抑えるために、格安インプラントを提供している医院で治療を受ける方法もあります。格安インプラント治療を受け、さらに医療費控除などを併用させると、かなりお得に治療が受けられるでしょう。
しかし、格安のインプラント治療は、設備が整っていない環境で治療を受けないといけなかったり、使用するインプラント体が安価なものであったりと、さまざまなトラブルに巻き込まれる可能性があります。費用を抑えている分、治療の質には期待できないこともあるでしょう。
インプラントの費用や保険適用、安く抑える方法について解説しました。残念ながらインプラント治療で健康保険が適用されるケースはまれですが、さまざまな制度の利用によって、お得に治療を受けられるケースもたくさんあります。費用だけで医院を決めてしまわず、上質な治療を適正価格で提供している医院を選びましょう。
山手歯科クリニックでは、25年以上の実績と最新の技術で、安全かつ最善のインプラント治療を提供しています。インプラントだけでなく、虫歯や歯周病の治療も行う「総合クリニック」として、患者さまのお口の健康をサポートしているため、口内のトラブルでお悩みの方は、お気軽に山手歯科クリニックへご相談くださいませ。
監修:理事長/齋藤和重