2022/09/05
失った歯を補うための治療はさまざまなものがありますが、独立した治療が可能なインプラント治療はたくさんのメリットが得られます。審美性にも優れているため、第一候補として検討している方も多いでしょう。
しかし、インプラント治療は手術が必要な治療であり、構造が気になる方もいるのではないでしょうか。また、インプラントメーカーなど「種類にもこだわりたい」と考えている方もいるでしょう。
そこで今回は、インプラントの種類と構造をわかりやすく解説します。人工歯に使われるセラミック・ジルコニアなどの素材についても解説するので、インプラント治療を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
インプラント治療は、歯を支えている骨のなかに人工歯根となるインプラント体を埋入し、その上に人工歯を取り付ける治療方法です。治療方法によって異なりますが、以下の3つのパーツに分けられます。
では、インプラントの構造についてくわしく解説します。
歯科におけるインプラント治療で「インプラント」もしくは「インプラント体」と呼ばれる部分は、骨のなかに埋め込むネジのような形をした人工歯根の部分を指します。独立した治療を可能にするために歯の根っこの代わりとなり、インプラント治療の土台となる重要な役割をしています。体内に直接埋め込むため、アレルギー反応が少なく腐食しにくいチタン製のものが主流です。
アバットメントとは、インプラント体と人工歯を結合させるための器具です。骨のなかに埋め込んだインプラント体と接続し、歯茎から露出させる状態で取り付けます。一人ひとりの歯茎の厚みやインプラント体の角度などを考慮して最適なものを取り付け、噛み合わせが悪くならないように工夫されています。アバットメントは、インプラント体と一体型のものもあり、症例によって使い分けも可能です。
上部構造とは、失った歯の代わりとなる人工歯を指します。歯茎から露出させたアバットメントへ装着し、実際に食べ物を咀嚼する役割を持ちます。使用する素材は、審美面や強度に優れているセラミック・ジルコニアなどが主流で、保険診療で作成する入れ歯やブリッジのように金属が目立ってしまうことはありません。
インプラントは、一回法と二回法の2種類に分けられます。一回法では、インプラント体を埋入する際に高さのあるヒーリングキャップを取り付けるため、アバットメントを取り付けるための二次手術を受ける必要がありません。手術の回数が少ないため負担が少なく、治療期間も短縮できるメリットがあります。ただし、骨の厚みや量が十分ではない一回法が適用できないケースもあり、すべての症例に適用できる治療法ではありません。
一方の二回法は、インプラント体とアバットメントが分離しているため、インプラント体埋入手術(一次手術)を受けたあとに、アバットメントを取り付ける手術(二次手術)を受ける必要があります。インプラント体を埋入してから治癒期間を設けるため、骨とインプラント体がしっかり結合するのが二回法のメリットです。ただし、2回に渡って手術を行うため負担が大きいことや、インプラントとアバットメントの結合部分が緩くなる可能性があることが注意点として挙げられます。
骨に埋め込むインプラントメーカーは、世界に数百社あるといわれています。自分で好きなように選ぶことはできませんが、適切で信頼のあるメーカーのインプラントを使用することで、正しく機能するインプラント治療となるでしょう。なかでも代表的なのは、以下の4社です。
これらは世界的に大きなシェアを持つ代表的なインプラントで、世界中のインプラントドクターから信頼を得ています。いずれのメーカーも10年以上の臨床実績があり、科学的根拠に裏付けられた品質・安全性の高い製品を提供していることが、医師からの信頼へつながっています。
インプラントの上部構造にはさまざまな種類があり、予算や部位にあわせた素材を選べます。基本的にセラミックがベースのものが多いため、金属アレルギーがある方でも心配が少ないでしょう。代表的なものは以下の3種類です。
では、それぞれの素材についてくわしく解説します。
すべてセラミックでできている審美性に優れた素材です。劣化による変色の心配がないため、長期的に美しい状態を保てます。ただし、強く噛み合う部分では欠けたり破損したりするリスクがあり、噛み合わせが強い方には不向きでしょう。
ジルコニアは耐久性・審美性に大変優れており、適用できる部位が多いことが特徴です。歯ぎしりや食いしばりが強い方の奥歯にも使用でき、割れる心配はほとんどありません。審美性にも優れているので前歯にも適用され、汎用性に優れた素材といえるでしょう。
ハイブリッドセラミックは、歯科用プラスチックとセラミックをあわせた素材です。保険適用のプラスチックに比べて強度は増しているものの、セラミックやジルコニアに比べるとやや劣ります。また、劣化すると変色する点でも、他の素材より劣る部分が多いといえますが、安価で作成できることがメリットとして挙げられます。
オールオン4とは、インプラント治療法の一つで、多くの歯を失った方向けのその日から軽い食事ができる治療方法です。片顎最小4本のインプラントですべての人工歯を支える治療法で、インプラントの埋め込みから歯の装着まで1日で完了します。
ただし、非常に高い技術が求められる治療であり、適用できるケースが少ないというデメリットも挙げられます。適用できる症例かどうか、医師とよく相談して治療を受けるようにしましょう。また、どの医院でも対応している治療法ではないため、検討している方は事前に確認しておくとスムーズに進みます。
インプラント治療の種類や構造について解説しました。独立した治療が可能なため、残っている健康な歯を守れるインプラント治療は、さまざまなメリットが得られるといえるでしょう。ただし、治療を受ける際には自分の症例に合った適切な方法で、質のよい治療を受けるようにしましょう。安易に選んでしまうと、すぐに脱落したり感染症を引き起こしたりと、失敗してしまう可能性もあります。
山手歯科クリニックでインプラント治療を担当している医師は、ICOI国際インプラント学会指導医である理事長です。東京都内ではわずか2%の厚生労働省に認可された設備が整っている医院であり、セカンドオピニオンや丁寧なカウンセリングを行った後、一人ひとりに最適な治療を提供しています。インプラント治療を検討している方、医院選びでお悩みの方は、山手歯科クリニックへお気軽にご相談くださいませ。
監修:理事長/齋藤和重