2022/12/16
病気や事故によって歯を失った方のなかには、審美性の高いインプラント治療を検討している方も多いでしょう。しかし年齢の若い方やお年を召された方のなかには「どんな年齢であっても治療を行えるのだろうか」と不安や疑問を抱いている方もいるはずです。
そこで当記事では、インプラント治療における年齢制限やインプラントの概要、インプラント治療が難しい年代がある理由などについて解説します。インプラント治療を検討している方は、ぜひお読みください。
インプラントを受ける適正な年齢の制限は、ある程度存在しています。適正年齢に当てはまらない方は、ほとんどの場合治療を受けられません。
治療を受けられる年齢の下限は、20歳程度です。対して上限は、明確には決められていません。下限と上限それぞれの詳細については、以下でくわしく解説していきます。
インプラント治療を実施するのは、20歳を超えてからがおすすめとされています。20歳という制限は、1996年にスウェーデンで行われたインプラント治療に関する会議によって決定されました。
20歳以下が原則治療できない理由は、顎の骨の成長にあります。人間の顎の骨は、20歳ごろまで成長し続けるとされています。成長途中にインプラントを埋め込むと、埋め込んだ部分の骨の成長が弱まってしまう可能性があるのです。成長の妨げとならないよう、インプラントは基本的に20歳以降に行うのが適切だとされています。
ただし、顎の成長がいつまで続くかは人によっても異なります。20歳を超えていなくても骨の成長が完了している人もいれば、20歳になっても骨が成長し続けているケースもあるでしょう。
したがってインプラント治療を受ける際は、まず歯科医師に相談してみることをおすすめします。治療を始めるのはいつが適切かを医師に判断してもらうことで、より安心して治療を行うことができるでしょう。
インプラント治療を行う上で「何歳以上の人は行えない」という明確なルールは存在しません。ただし、20歳以上であればすべての人が受けられるかというと、そうともいえないのが事実です。
お年を召された方の場合、若い人に比べて体へのリスクが多くなります。インプラント治療を行うことで、身体に悪影響をおよぼす可能性もゼロではありません。したがってインプラント治療を行える年齢は、原則80歳までが目安であるといわれています。
80歳はあくまでも目安であり、明確なボーダーラインとなる数字ではありません。インプラント治療を受けられる年齢は、患者さんそれぞれの体や口内のコンディションによっても異なります。
自分が治療できるのか知りたい方は、まず歯科医院で医師の診断を受けることをおすすめします。
歯科治療におけるインプラントとは、失った歯を補うために、顎の骨に埋入する人工歯根のことです。インプラントを埋め込むことで、天然歯のように食べ物を噛んだり、口のなかの見た目の美しさを高めたりできます。
インプラントを埋め込む場合、基本的に入れ歯よりも長い期間をかけて治療を行うことになります。埋入の際は麻酔を使用した外科的な手術を実施し、手術を終えたあとには定期的なメンテナンスを実施しなければなりません。
前述のとおり、インプラント治療は入れ歯の治療などに比べてやや大掛かりです。治療のフローなどに鑑みた場合、高齢者の方にはインプラント治療を行うのが難しいケースがあります。
高齢者の方のインプラント治療を難しくしている要因は、主に以下の4つです。
インプラントの治療では、外科手術を行う必要があります。手術のなかでは、顎の骨を削ったり、歯茎を開いたりします。歳を重ねると体にできた傷を治癒する能力が弱くなるため、手術で負った傷が体に悪影響をおよぼす可能性があるのです。
手術で負った傷がすぐに治らないと、傷のある場所が細菌に感染したり、血液がたまって腫れ上がったりするリスクが高まります。そうなれば、体の健康を阻害したり、インプラントが体に馴染まなくなったりする可能性も高まるでしょう。
外科手術ならではのリスクがあるという点は、高齢者が治療を行いにくい理由の大きなひとつです。
インプラント治療は、手術を終えたら完了というわけにはいきません。インプラント周囲炎などの病気を防ぐためにも、定期的に歯科医院へ通い、メンテナンスを行っていく必要があります。
また歯科医院でのメンテナンスだけでなく、自分でも自宅でしっかりとメンテナンスを行わなければなりません。
高齢の方の場合、定期的に歯科医院へ通ったり、自分でメンテナンスを行ったりするのが難しい方も多いでしょう。「健康状態に問題がある」などの理由でメンテナンスが行えなかった場合、病気を発症し、さらなる体調不良につながるケースもあります。
インプラント治療は、顎の骨にインプラントを埋入し、結合させる治療です。高齢者の場合、インプラントの結合力が弱い可能性があるため注意が必要です。
高齢者の方は若年層の方よりも、体の免疫力が弱まっています。①でも解説した通り、免疫力が弱いと体にできた傷の治りが遅くなります。傷が治りにくいと、インプラントと顎の骨がしっかりと結合しなくなるため、インプラントがなかなか安定しません。
インプラントが不安定な場合、咀嚼機能を十分に果たすのが難しくなります。場合によっては、もう一度手術をやり直さなければならなくなるケースもあるでしょう。
高齢者は若年層の方に比べ、持病があるケースが多くあります。とくに以下は、多くの高齢者の方が抱えている病気です。
上記のような持病を抱えた状態で手術を実施すると、体に悪影響をおよぼす可能性があります。したがって持病がある場合は、手術を実施できないケースもあるでしょう。
インプラント治療を実施する患者さんは、40〜60代が多いとされています。40〜60代の人々は仕事や育児に追われているため、歯のメンテナンスを丁寧に行うのが難しくなります。メンテナンスが不十分であることから口内が病気になり、インプラントを使用することになる人が多い、というのが定説です。
なお、平均年齢より若いからといって早すぎるということもありません。若い方は体が健康なケースも多いため、歳を取ってから受けるよりもリスクを抑えて治療が受けられます。また、骨の量も高齢者より多く、免疫力も高いため、安心感を持って治療できるでしょう。
インプラント治療は原則20歳以上が適正年齢です。対して、上限については明確な基準が存在しません。しかし手術によってトラブルが発生する可能性があったり、メンテナンスが難しかったりすることから、80歳以上の高齢者には治療が難しいとされています。
体の健康状態や顎の成長度合いは人によってそれぞれであるため、治療を受けたい方は一度医師に相談してみるのがおすすめです。
山手歯科クリニックは、インプラントについての深い知識や経験を持つ担当医が治療を行っています。安心感のある治療を受けたい方は、ぜひ一度お越しください。
監修:理事長/齋藤和重