2023/04/26
インプラント治療は外科手術をともなうので、治療後に痛みを感じることはありますが、治療を終えてから数年後に痛みを感じたときは不安になりますよね。
この記事では、インプラント治療後に感じる痛みの原因と対処法について解説します。
結論として、インプラントは痛みが少ない治療法ですが、ある程度年月が経ってから痛みを感じる場合は、患部に何らかの変化が生じている危険性が高いです。
考えられる原因とトラブルを予防する方法を詳しくまとめたので、インプラント治療後に痛む場合は参考にしてみてください。
インプラント治療後の痛みについてお話しする前に、そもそもインプラントとはどのような治療法なのか説明します。
インプラント治療というのは、虫歯や歯周病などで歯を失った場合に、金属製の人工歯根を埋め込み、人口歯を装着する治療法です。
歯があったときの状態に回復することを目的としており、インプラント治療によって、見た目も良くなりしっかり噛めるようになります。
インプラントは、以下3つのパーツで構成されています。
インプラント治療はどのように行われるのかというと、まず歯がなくなった部分の歯茎にインプラント体と呼ばれる人口歯根を埋め込み、アバットメントという歯の土台となるものを装着します。
その上に被せ物(人口歯/上部構造)を被せると治療が終了です。
インプラントを検討している方の中には痛みについて気になる人も多いかと思います。
歯科医院が苦手な人は、虫歯治療や親知らずの抜歯などのように、治療に痛みを伴うイメージがあるのではないでしょうか。
ですが、一般的にインプラント治療は痛みをほとんど感じない治療法だと言えます。
インプラント治療中は、麻酔を使用するため、麻酔が効いている間は痛みはほとんどありません。
ただし、以下のような場合に痛みを感じることがあります。
インプラント治療は外科手術となるので、麻酔をせずに行うことはありません。
ですが、インプラント埋入する部分に行う局所麻酔では、起きているため骨を削る振動や音などが聞こえ、恐怖心から痛みを感じることもあるでしょう。
インプラント治療中はほとんど痛みがありませんが、治療後に痛みを感じる場合があります。
上記それぞれの痛みの原因について解説していくので、ご確認ください。
一般的に、インプラント治療を終えて麻酔がきれてから2、3日間は痛みや腫れ、まれに出血がある可能性があります。
状況によっては2〜3週間続くことがありますが、いずれにせよ一時的なものであり、痛みや腫れ、出血は自然と止まっていくでしょう。
患部の腫れや痛みが引かない場合は、施術後の経過が良好ではない場合もあるので、気になるときは医師に相談してみてください。
インプラント治療を終えて7〜14日程度したら歯科医院を訪れ、抜糸を行う必要があります。
人によっては抜糸によるチクチクとした痛みを感じる場合があります。
痛みの感じ方は人それぞれなので、痛みが苦手な方は医師に相談して麻酔を処置してもらうなどの方法を検討しましょう。
抜糸後は、患部に衝撃が加わると痛みを感じることがあるので、食べ物を食べる際や歯磨きの際には注意した方が良いです。
インプラント治療は、歯の状態によっては以下のような処置が必要になる場合があります。
例えば、骨造成の治療を行なった場合は2〜3日後をピークに、10日程度痛みや腫れが生じる可能性があるでしょう。
このように、通常のインプラント治療よりも術後の痛みが強くなることがあります。
痛みが苦手な方は、インプラント治療をしたいと思っていても、なかなか踏み出せないという人もいるでしょう。
では、治療を受けるにあたってどのような対策ができるのでしょうか。
そこで、インプラント治療における痛みの緩和方法を紹介します。
治療前、治療後数日に感じやすい痛みを軽減させたいという方はぜひ参考にしてください。
インプラント治療で一般的に使われる麻酔方法は「局所麻酔」といって、患部へ麻酔薬を投与することで、その部分だけ痛みを感じない状態にする方法です。
全身麻酔に比べて身体への負担が少なく、短時間で済むことからインプラント治療に適しています。
ですが、麻酔による痛みが苦手な方は、「表面麻酔」を用いて注射の痛みを感じないようにしたり、「鎮静法」と併用してリラックスさせたりしてから麻酔を行うなどの対策もとれるので、医師に相談してみましょう。
アルコールは血流を促進させる働きがあるため、インプラント治療後に血が固まらず、傷口が治るスピードが遅くなってしまう可能性があります。
また、アルコール摂取は脱水症状を引き起こしやすく、自浄作用がある唾液の分泌量が減ってインプラント歯周炎になりやすくなるのです。
そのため、インプラント治療後の数日間〜数週間はなるべく飲酒を控えましょう。
タバコに含まれるニコチンは、血流を悪くし、インプラントを支える歯茎や骨に必要な栄養が行き渡らず、弱って痛みを伴う場合があります。
また、歯周病やインプラント歯周炎になる可能性が高まり、痛みが生じる危険性が高くなるので要注意です。
審美性の高いインプラント治療をしたにもかかわらずタバコを吸うことで見た目も損なわれてしまうので、インプラント治療後は喫煙を控えるのが望ましいです。
インプラント治療を終えてすぐは、まだ傷口が治りきっていない繊細な状態です。
その状態で硬いものを食べると、出血したり縫合した部分が裂けたりする可能性があり、痛みを生じやすくなります。
そのため、治療後数日間はなるべく硬いものを避け、豆腐やおかゆなどの軟らかいものを食べる、もしくは治療した部分とは反対側で食べるのが良いでしょう。
歯磨きの際に治療を行なった部分に歯ブラシが当たると、患部が傷つき治りが遅くなる恐れがあります。
そうなると痛みを感じる期間が長くなってしまうでしょう。
インプラント治療後、抜糸をするまでは歯ブラシが患部に当たらないように注意したり、強くうがいをしないようにしたりと気をつけることが大切です。
インプラント治療では特に痛みを感じなくても、治療してから数年後に痛みが出てきてしまうこともあります。
その場合は、口腔内に何らかのトラブルが起きている可能性が高いです。
インプラント治療をしてから数年後に感じる痛みの原因を説明します。
インプラント周囲炎とは、インプラントの周囲組織で炎症が起こり、歯周病と同じような症状になることで、歯茎から出血したり膿が出たりする場合もあります。
インプラント周囲炎の原因は歯の表面に付着した歯垢(プラーク)です。
他の歯と同じように歯磨きが十分にできていないと歯周病になってしまうのと同様、インプラントもしっかりケアしておかないと歯周病菌が増殖し、最悪の場合せっかく埋め込んだインプラントを失うことにもなります。
インプラント周囲炎によって起こりえる具体的な症状はこちらです。
自覚症状が少ないので気付きにくいですが、放っておくと症状が悪化し、インプラントが抜け落ちてしまう恐れもあります。
インプラント周囲炎が発症した場合、考えられる治療法は以下の通りです。
早期治療を行えば悪化するリスクが軽減され、治療が簡単に済むでしょう。
ですが、インプラントはどうしても天然歯に比べると歯周病に弱くなってしまうので、このような治療を行わなければならない状況になる前にしっかりケアをしていく必要があります。
インプラント体と被せ物をつなぐ土台となるアバットメントは、通常はネジで固定されています。
ですが、長く使っているとネジが緩んでしまい、ぐらつきが生じる場合もあるのです。
インプラントがぐらつくと痛みを感じたり、破損の原因になったりします。
インプラント治療から数年が経過すると、噛み合わせのバランスが崩れると、インプラントに負担がかかってしまい、痛みを感じることがあります。
また、噛み合わせが悪いとインプラントと被せ物を繋ぐアバットメントにも負担がかかり、先ほど説明したように痛みや破損の原因にもなります。
インプラント自体に問題はなくても、インプラントを埋め込んだ周囲の歯に虫歯や歯周病などを起こして痛みが生じる場合があります。
インプラントは虫歯になりませんが、インプラントに歯垢がつくと隣の歯との境目にも歯垢がつく恐れもあり、セルフケアを怠ると虫歯の危険性があるのです。
ですから、痛みを感じたときにインプラントに原因があると思っていたら、実際は周囲の歯にトラブルが生じていたというケースは少なくありません。
インプラント治療を終えてから数年後でも痛みを生じさせないために、そして痛みを解消するためにできることはあるのでしょうか。
インプラント治療後に感じる痛みの予防法と対処法を説明します。
口腔内を綺麗に保つことがトラブル防止に役立ちますので、インプラント治療を検討中の方や治療を行った方はぜひチェックしてください。
インプラント治療後の歯を健康に保つためには毎日のセルフケアを怠らないことが大切です。
インプラント周囲炎は、歯磨きで落としきれなかった歯垢が溜まって起こるので、丁寧なブラッシングを徹底するとリスクが軽減されます。
歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助清掃用具を使用すれば、磨き残しを減らせます。
健康な状態を保つために、インプラント治療を終えてからの定期メンテナンスは欠かさず行うようにしましょう。
インプラント歯周炎ははじめ、痛みなどの自覚症状が少ないため自分では気付きにくいですが、定期検診を行えばインプラントやその周辺に異常がないか、噛み合わせは問題ないかなどをチェックしてもらえます。
さらに、専用の器具を使って歯をクリーニングしてもらえるので、歯ブラシでなかなか落とすことができない歯石や着色汚れを取り除けるというメリットもあるのです。
インプラント治療が終わって数年後に痛みや違和感を感じる場合、何らかのトラブルが起こっている可能性が高いです。
インプラント治療後の痛みを放置すると、症状が悪化する可能性があり、インプラントの寿命を縮めてしまうのです。
早めに対処すればするほど早く解決しますので、気になった段階で早めに担当の医師に診てもらいましょう。
インプラント治療後に感じる痛みの原因と対処法について解説しました。
インプラント治療中は麻酔を使うため、痛みを感じにくいですが、治療の数日後や数年後に痛みが生じることもあります。
特に治療から数年経ってから感じる痛みに関しては、インプラントやその周囲でトラブルを抱えている可能性が高いです。
口腔内トラブルは早期発見・早期治療が肝心ですので、痛みを感じる場合は早めに歯科医院に相談しましょう。
セルフケアや定期メンテナンスも大事なので、しっかり対処してインプラントの寿命を長持ちさせましょう。
東京都品川区YDC審美インプラント治療専門ガイド
監修:山手歯科クリニック(大井町・戸越公園) 理事長/齋藤和重