2022/12/19
失った歯を補うための治療のひとつとして「インプラント」や「セラミック」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、インプラントとセラミックの違いについてはよく知らないという方もいるのではないでしょうか。
インプラントとセラミックの違いについて知ることで、自分に合った治療法を適切に選択できるようになるでしょう。
当記事では、インプラントとセラミックの違いや、それぞれのメリット・デメリット、費用相場などについて解説します。インプラントとセラミックの違いが気になっている方、特徴についてくわしく知りたい方は、ぜひお読みください。
インプラントとセラミッククラウンも、歯科医院で行う治療のひとつです。両者の大きな違いは、歯根を残すかどうかです。
インプラントは歯根も人工的なものを使用しますが、セラミッククラウンの場合、歯根は天然のものを残した状態で治療します。
それぞれのくわしい概要については、以下で解説していきます。
インプラントとは、事故や病気によって失った歯を補うために行う治療のことです。骨に埋め込む人工歯根、周りから見える人工歯、2つをつなぐアバットメント(連結部)という3つのパーツにわかれて構成されています。
インプラントの人工歯根は、チタンという金属を使用します。チタンは人間の体になじみやすいため、埋入しやすい物質です。
セラミックとは本来、素材の種類のひとつです。食器や自動車のパーツ、パソコンの液晶など、身の回りのさまざまなものに使われています。
しかし歯科業界においては「セラミッククラウン」という治療法を略してセラミックと呼んでいるケースがほとんどです。セラミッククラウンとは、歯根を残した状態で周りから見える歯の上部分だけを補う治療法のことを指します。
歯を失った際、外から見える歯の部分はなくなっても、なかの歯根は残っているケースがあります。歯根が残っている場合に行える治療が、セラミッククラウンです。
インプラントは人工歯根を埋入してしっかりと固定しているため、さまざまなメリットがあります。しかし一方で、やや大掛かりな治療だからこそのデメリットも存在します。
インプラントのメリットとデメリットについて、以下でくわしく見ていきましょう。
インプラントの主なメリットは、安定感が高いという点です。インプラントは自身の骨にしっかりと埋め込むため、入れ歯などの治療方法に比べると高い安定性を持っています。
食べ物を噛んだり、言葉を話したりする際にずれてしまう心配がほとんどありません。咀嚼の際は、自分自身の天然歯であるかのように強く噛むことができるため、「人工物を使用している」という違和感や不快感を抱きにくいという強みがあります。
また、骨が減少しにくくなるという点もメリットのひとつです。入れ歯やブリッジのような治療を行った場合、噛んだ際に顎の骨へ咀嚼の刺激が伝わりません。そのため骨がだんだんと減っていき、顔が老けた印象になりやすくなります。
しかしインプラントの場合は、人工歯が顎の骨につながっているため、咀嚼の刺激が顎までしっかりと伝わります。自分の歯で噛んでいるときと同じく、骨に刺激が伝達されるため、骨が減っていくのを防ぎやすくなるでしょう。
インプラントのデメリットは、一部の患者さんには治療が行えないという点です。インプラントの治療では、外科的な手術を行う必要があります。したがって、年齢や持病の関係で外科手術に耐えられない場合は治療を断念しなければなりません。
また、インプラントの人工歯根に使われているチタンが体に合わない場合も、治療を受けられない可能性があります。
チタンは人間の体との親和性が高い物質ですが、それでもアレルギー反応を起こしてしまう方がまれにいます。チタンを埋め込むことで体に異常が出てしまう場合、治療を断念するケースもあるでしょう。
さらに、顎の骨の幅や高さが足りていない場合も治療が受けられない可能性があります。骨の量が十分でないと、人工歯根を埋め込むことができないためです。
セラミックにも、インプラントと同様にメリットとデメリットがそれぞれ存在します。メリットとデメリットについては、以下でくわしく解説していきます。
セラミックのメリットのひとつは、金属アレルギーの心配がないという点です。インプラントも金属アレルギーを発症しにくい素材を使っていますが、それでもまれに発症してしまうケースがあります。アレルギー反応を避けてより安心して治療を行いたいという方は、セラミックの使用を検討してみましょう。
また、審美性(見た目の美しさ)を保ちやすいという点もメリットのひとつです。セラミックは自然歯に近い見た目や質感を持っているため、周りから見た際に「自然歯ではない」と気づかれにくいという特徴を持っています。
また、ほかの物質に比べて変色しにくいため、見た目の美しさを保ちやすいという点も特徴です。
セラミックのデメリットのひとつは、欠ける可能性があるという点です。セラミックは陶器でできているため、大きな衝撃を受けた際に欠けてしまうケースがあります。
事故などの大きな衝撃を受けた場合だけでなく、食いしばりや歯ぎしりといった日常の何気ない癖によっても割れてしまうことがあります。食いしばりや歯ぎしりの癖がある方は、十分な注意が必要です。
また、必ずしも一生使えるものではないという点についても注意しておく必要があります。セラミックの周りに虫歯ができたり、歯周病が発症したりした場合、セラミックを交換しなければならないケースも出てきます。
セラミックを交換するとなった場合、もう一度高額な費用がかかることになるでしょう。セラミックの寿命を少しでも伸ばすためには、毎日歯磨きなどのセルフケアをしっかりと行ったり、定期的にメンテナンスを実施したりすることが欠かせません。
インプラントの費用相場は、30〜60万円程度、セラミックの費用相場は、10〜20万円程度です。インプラントもセラミックも、基本的には保険が適用されません。すべて患者さんの自己負担となるため、費用が高くなりやすい傾向にあります。決して安くないからこそ、治療は信頼できるクリニックで行うことが大切です。
インプラントは人工歯根を顎の骨に埋め込み、失った歯を補う治療のことです。安定感が高く、咀嚼がしやすいというメリットがあります。
歯科業界におけるセラミックとは、多くの場合セラミッククラウンのことを指します。セラミッククラウンとは、天然の歯根を残した状態で失った歯を補う治療のことです。セラミックは審美性が高く、金属アレルギーを発症する心配もありません。
山手歯科クリニックでは、ICOI国際インプラント学会指導医である理事長がカウンセリングやセカンドオピニオンを行っています。失った歯を補う治療を安心して行いたい方は、ぜひお越しください。
監修:理事長/齋藤和重
2022/12/19
インプラントの手術を終えたあと、痛みを感じるケースがあります。激しい痛みが続いている患者さんのなかには「どうやったら治るのか」「痛みはいつまで続くのか」といった疑問や不安を感じている人も少なくないはずです。
インプラント術後の痛みは、ほとんどの場合一定期間を過ぎればおさまります。また、適切な対処を行うことで早めに痛みを抑えられる可能性もあるでしょう。
当記事では、インプラント手術後の痛みを抑える方法や、痛みが続く具体的な期間などについて解説します。手術を行ったあとに痛みを感じて困っている方、インプラント治療を行うか検討している方は、ぜひお読みください。
インプラントの手術を終えたあとに痛みを感じる場合は、以下8つの方法を試してみるようにしましょう。
手術の際に行った麻酔が切れるまでは、食事を避けるようにしてください。麻酔が効いた状態で食事を行うと、思わぬ怪我をする可能性があります。
麻酔が切れたあとも、硬い食べ物はしばらく避けるようにしましょう。また、たくさん頬張らず、一口のサイズを小さめにしてゆっくり食べることを心がけるのも大切です。
咀嚼の際は、できる限り治療を行った患部で噛まないようにしてください。患部とは反対側の歯列でゆっくりと食事をとることで、痛みが発生するのを防ぎやすくなります。
お酒を飲むと全身の血の巡りがよくなり、傷口が腫れたり傷口から血が出たりする原因となってしまいます。また、治療を行った場所にズキズキとした痛みを感じやすくなります。
手術してから2〜3日程度は、お酒をできるだけ飲まないようにしましょう。
入浴にも、飲酒と同じく血の巡りをよくする作用があります。手術を行ってから3日程度は湯船に浸かることを避け、熱すぎないお湯でシャワーを浴びるようにしましょう。
ランニングやスポーツなどの激しい運動を行うと、飲酒や入浴のように全身の血の巡りがよくなってしまいます。インプラント治療を行ってから1週間程度は激しい運動を避け、安静に過ごすようにしましょう。
またウォーキングのような軽度の運動であっても、手術から2〜3日程度経つまでは避けるのが賢明です。仕事や育児があると難しいかもしれませんが、手術を行ってからしばらくの間は、できれば自宅でゆったりと過ごすのがベストです。
インプラントの手術後はできる限り禁煙を行ってください。喫煙すると、毛細血管が急激に収縮し、歯茎の治癒力が弱まります。治癒力が弱まると細菌感染のリスクが高まるため、痛みを感じやすくなります。
また、タバコを吸うと血の巡りが悪くなり、口のなかにある唾液の量が減ってしまう点にも注意が必要です。唾液には、口のなかを清潔にする作用があります。唾液が減ると口内が清潔に保たれにくくなって歯垢がたまっていき、インプラント周りの歯茎に炎症が起こりやすくなります。こうした過程で発生した炎症が痛みを引き起こすケースもあるため、注意しましょう。
普段からタバコを吸っている場合、治療後はできる限り禁煙や節煙を心がけましょう。可能であれば、インプラント治療の少し前から禁煙を始めておくのがベストです。
インプラントの手術を行ったあとに刺激の強いものや硬いものを食べると、痛みが悪化する可能性があります。避けるべき食べ物の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
ほかにも、ガムやキャラメル、お餅のような食べ物も避けることをおすすめします。歯にくっつきやすいため、仮歯が取れる危険があります。
以下のような、柔らかくてあまり咀嚼の必要ない食べ物を食べるようにしましょう。
手術した直後から数日後までは、インプラント治療を行った場所にブラシなどで触れないように注意しましょう。治療したばかりの患部は傷口になっているため、触れると炎症を起こす可能性があります。
また、患部を磨くと治りが遅くなる可能性もあるため、注意が必要です。治療を行った場所は、時間が経つにつれて血液が固まっていき、出血を抑えることができます。しかし患部に歯磨きなどを行うと、固まるはずの血液が洗い流されてしまい、傷が治るのも遅くなってしまいます。
インプラントを埋めた場所は、磨いたり刺激を与えたりしないようにしてください。
鎮痛剤を飲むことで、インプラントの痛みを一時的に緩和させることが期待できます。インプラント治療を行ったあとには、鎮痛剤が処方されるケースがほとんどです。処方された薬を用法どおりに正しく服用しないと痛みを感じるケースがあるため、薬はしっかりと飲むようにしましょう。
歯科医院からもらったものではなく、市販されている鎮痛剤でも問題ありません。鎮痛剤を服用しても痛みが和らがない場合は、歯科医師に相談することをおすすめします。
インプラント手術後の痛みが続く期間は、人によってさまざまです。短ければ、手術から2〜3日後には痛みが引きます。また、長い方でも1〜2週間程度経てば痛みが治るケースがほとんどです。
2週間経っても痛みが引かない場合は、歯科医院に相談するようにしてください。感染症などの病気を発症している可能性があるためです。
病気を発症していた場合、患者さんのセルフケアだけで治すのは困難です。症状が悪化しないよう、異常を感じたらすぐに行動を起こすようにしましょう。
インプラント治療後に感染しやすい病気のひとつが、インプラント周囲炎です。インプラント周囲炎は、歯垢のなかの細菌が原因で発症する感染症です。
発症すると、以下のような症状が表れます。
痛みとともに、以上のような症状が見られた場合は、発症している可能性があるため注意が必要です。インプラント周囲炎は治療が難しく、進行スピードも早い病気であるとされています。少しでも治療しやすくするためにも、早期発見を目指すようにしてください。
インプラント手術を終えたあとに痛みを感じる場合は、飲酒や喫煙を避けたり、鎮痛剤を飲んだりすることで対処を行いましょう。
術後の痛みが続く期間は、2日〜2週間程度です。2週間を過ぎても痛みが続く場合は、感染症にかかっている可能性があるため、早めに医師に相談するようにしてください。
山手歯科クリニックでは、患者さんが納得いくまで徹底的にカウンセリングを行ってから、治療を実施しています。安心してインプラント治療を行いたい方や、歯に関する疑問・不安をお持ちの方は、ぜひお越しください。
監修:理事長/齋藤和重
2022/12/16
インプラントのなかには、通常よりも安く治療を受けられる格安インプラントというものが存在します。当記事では、格安インプラントの概要や安さの理由、一般的なインプラント治療の費用相場、安く治療を行う方法について紹介します。
格安インプラントについてくわしく知りたい方や、できる限り安くインプラント治療を受けたいと思っている方は、ぜひお読みください。
格安インプラントとは、一般的なものよりも値段を抑えて治療できるインプラントのことです。ものによっては、一般的なインプラント治療の4分の1で治療できることもあります。
インプラントは決して安い買い物ではないため、できれば格安で受けたいと思う方も多いでしょう。しかし格安インプラントには、安いだけのデメリットやリスクも存在します。
価格の面だけを見て格安インプラントを選択すると、後悔する可能性もあります。格安で治療を受けたいと思っている方は、格安インプラントが持つリスクについてもしっかりと把握した上で検討するようにしましょう。
格安インプラントが安い値段となっているのには、ほとんどの場合事情があります。考えられる事情としては、以下のようなものが挙げられます。
以下でくわしく解説します。
格安インプラントのなかには、経験の少ない医師が経験を積むために安く治療を行っているケースもあります。経験や技術が足りていない医師から治療を受ける場合、注意が必要です。
インプラントと一言でいっても、さまざまな種類があります。インプラントを作っているメーカーは世界で100社以上あり、日本だけでも30社以上あるとされています。
格安インプラントでは、数あるインプラントのなかの、日本で承認されていないメーカーの製品を使用している可能性があるのです。日本未承認ということは、日本国内で使うことが認められていないということです。使用が認められていない製品は、安全性についてもまだ確認が行われていません。
人体に埋め込んでも悪影響をおよぼさないのか、しっかりと機能してくれるのか、といったことが一切保障されていないともいえるでしょう。インプラントは、体に埋め込んでほぼ一生使っていくものです。自分の一部となるようなものの安全性が未確認というのは、大きな不安を感じるのではないでしょうか。
また、一般的な歯科医院で使用されているようなメジャーなインプラントの場合、万が一骨と結合しなかった場合は無料で交換してもらえることもあります。しかし格安インプラントで使用されているような未承認の製品・マイナーな製品の場合、うまく使えなくても責任を取ってくれないケースが多くあります。
うまく結合できなければ「治療に失敗した上にお金も返してもらえず、無駄に出費だけが発生した」という最悪の事態になる可能性もあるでしょう。
最初は安い料金を提示し、あとから不必要な料金を追加で請求して値段を釣り上げてくるというパターンも存在します。あとで思わぬ金額を請求されて動揺しないためにも、治療を受ける前には支払うお金の全額と内訳を提示してもらうことをおすすめします。
通常のインプラントの治療は、長い期間がかかります。インプラントと顎の骨をしっかりと結合させるためには、長い時間をかけなければならないためです。また、手術を終えたあとには定期的に病院へ通い、治療後のメンテナンスを行う必要があります。
しかし格安インプラントの場合、こうした必要な時間を省いてとにかく早く終わらせようとしているケースが多くあります。早く終わらせることで1人の患者に割く時間を減らし、多くの患者数を獲得して稼ごうと考えているためです。
本来のインプラント治療において必要な過程をカットしたり、メンテナンスを十分に行わなかったりした場合、さまざまな危険があります。具体的には、インプラントが正しく結合しなかったり、インプラント周囲炎などの病気を引き起こしたりする可能性があります。
インプラント治療において発生する費用の適正な相場は、およそ30〜60万円です。相場から大きくかけ離れるような格安インプラントについては、怪しい点がないかをしっかりとチェックするようにしましょう。
とくに10万円以下で行えるようなインプラントは、何かしらのよくない理由が隠されている可能性があります。十分に警戒するようにしてください。
費用が極端に安いインプラントは、安全のためにもむやみに選ばないことをおすすめします。とはいっても、通常のインプラントの費用は決して安くないため、できる限り費用を抑えたいと思っている方も多いでしょう。
安く治療を受けたい方は、以下3つの方法について検討してみることをおすすめします。
医療費控除とは、1年で10万円以上の医療費を払った際に受けられる控除のことです。医療費控除による還付額は、医療費控除額と所得税率を掛けあわせることによって算出可能です。
医療費控除を受ければ払った税金の一部が還付されるため、出費を減らすことができます。インプラントなどの治療で多くのお金を支払った際は、医療費控除を受けることを検討してみてください。
オールオン4とは、4本のインプラントで上または下のすべての人工歯を支えられる治療法です。すべての歯が無い状態でしか行えないという注意点もありますが、埋め込む本数が少なくなることで費用は抑えられる可能性が高いです。
また埋め込む本数が少ないため、手術回数が少なるなるなど体への負担も軽くなります。
「格安インプラントを使用しない」という行為自体も、インプラント治療を安く済ませることにつながります。繰り返しになりますが、格安インプラントを使用することにはさまざまなリスクがあります。
格安インプラントを使用したことでうまく接合できなかったり、問題が起こったりした場合、もう一度治療をやり直さねばなりません。そうなれば、最初から通常のインプラントを受けたときよりも多くの出費が発生することになります。
安く済ませようとして格安インプラントを選んだはずが、かえってお金がかかってしまっては本末転倒です。通常どおりの価格で済ませるためにも、初めから信頼のおける歯科医院で治療することをおすすめします。
格安インプラントは、未承認のメーカーのインプラントを使用していたり、メンテナンスが不十分だったりと、安いなりのマイナスな事情を持っているケースがあります。安心して治療を行うためにも、値段だけにつられてむやみに安いインプラントを選択しないようにしましょう。
山手歯科クリニックでは、患者さんのプライバシーを第一に考え、安心感のある個室で治療を行っています。インプラントの治療を受けたい方は、ぜひお越しください。
監修:理事長/齋藤和重
2022/12/16
病気や事故によって歯を失った方のなかには、審美性の高いインプラント治療を検討している方も多いでしょう。しかし年齢の若い方やお年を召された方のなかには「どんな年齢であっても治療を行えるのだろうか」と不安や疑問を抱いている方もいるはずです。
そこで当記事では、インプラント治療における年齢制限やインプラントの概要、インプラント治療が難しい年代がある理由などについて解説します。インプラント治療を検討している方は、ぜひお読みください。
インプラントを受ける適正な年齢の制限は、ある程度存在しています。適正年齢に当てはまらない方は、ほとんどの場合治療を受けられません。
治療を受けられる年齢の下限は、20歳程度です。対して上限は、明確には決められていません。下限と上限それぞれの詳細については、以下でくわしく解説していきます。
インプラント治療を実施するのは、20歳を超えてからがおすすめとされています。20歳という制限は、1996年にスウェーデンで行われたインプラント治療に関する会議によって決定されました。
20歳以下が原則治療できない理由は、顎の骨の成長にあります。人間の顎の骨は、20歳ごろまで成長し続けるとされています。成長途中にインプラントを埋め込むと、埋め込んだ部分の骨の成長が弱まってしまう可能性があるのです。成長の妨げとならないよう、インプラントは基本的に20歳以降に行うのが適切だとされています。
ただし、顎の成長がいつまで続くかは人によっても異なります。20歳を超えていなくても骨の成長が完了している人もいれば、20歳になっても骨が成長し続けているケースもあるでしょう。
したがってインプラント治療を受ける際は、まず歯科医師に相談してみることをおすすめします。治療を始めるのはいつが適切かを医師に判断してもらうことで、より安心して治療を行うことができるでしょう。
インプラント治療を行う上で「何歳以上の人は行えない」という明確なルールは存在しません。ただし、20歳以上であればすべての人が受けられるかというと、そうともいえないのが事実です。
お年を召された方の場合、若い人に比べて体へのリスクが多くなります。インプラント治療を行うことで、身体に悪影響をおよぼす可能性もゼロではありません。したがってインプラント治療を行える年齢は、原則80歳までが目安であるといわれています。
80歳はあくまでも目安であり、明確なボーダーラインとなる数字ではありません。インプラント治療を受けられる年齢は、患者さんそれぞれの体や口内のコンディションによっても異なります。
自分が治療できるのか知りたい方は、まず歯科医院で医師の診断を受けることをおすすめします。
歯科治療におけるインプラントとは、失った歯を補うために、顎の骨に埋入する人工歯根のことです。インプラントを埋め込むことで、天然歯のように食べ物を噛んだり、口のなかの見た目の美しさを高めたりできます。
インプラントを埋め込む場合、基本的に入れ歯よりも長い期間をかけて治療を行うことになります。埋入の際は麻酔を使用した外科的な手術を実施し、手術を終えたあとには定期的なメンテナンスを実施しなければなりません。
前述のとおり、インプラント治療は入れ歯の治療などに比べてやや大掛かりです。治療のフローなどに鑑みた場合、高齢者の方にはインプラント治療を行うのが難しいケースがあります。
高齢者の方のインプラント治療を難しくしている要因は、主に以下の4つです。
インプラントの治療では、外科手術を行う必要があります。手術のなかでは、顎の骨を削ったり、歯茎を開いたりします。歳を重ねると体にできた傷を治癒する能力が弱くなるため、手術で負った傷が体に悪影響をおよぼす可能性があるのです。
手術で負った傷がすぐに治らないと、傷のある場所が細菌に感染したり、血液がたまって腫れ上がったりするリスクが高まります。そうなれば、体の健康を阻害したり、インプラントが体に馴染まなくなったりする可能性も高まるでしょう。
外科手術ならではのリスクがあるという点は、高齢者が治療を行いにくい理由の大きなひとつです。
インプラント治療は、手術を終えたら完了というわけにはいきません。インプラント周囲炎などの病気を防ぐためにも、定期的に歯科医院へ通い、メンテナンスを行っていく必要があります。
また歯科医院でのメンテナンスだけでなく、自分でも自宅でしっかりとメンテナンスを行わなければなりません。
高齢の方の場合、定期的に歯科医院へ通ったり、自分でメンテナンスを行ったりするのが難しい方も多いでしょう。「健康状態に問題がある」などの理由でメンテナンスが行えなかった場合、病気を発症し、さらなる体調不良につながるケースもあります。
インプラント治療は、顎の骨にインプラントを埋入し、結合させる治療です。高齢者の場合、インプラントの結合力が弱い可能性があるため注意が必要です。
高齢者の方は若年層の方よりも、体の免疫力が弱まっています。①でも解説した通り、免疫力が弱いと体にできた傷の治りが遅くなります。傷が治りにくいと、インプラントと顎の骨がしっかりと結合しなくなるため、インプラントがなかなか安定しません。
インプラントが不安定な場合、咀嚼機能を十分に果たすのが難しくなります。場合によっては、もう一度手術をやり直さなければならなくなるケースもあるでしょう。
高齢者は若年層の方に比べ、持病があるケースが多くあります。とくに以下は、多くの高齢者の方が抱えている病気です。
上記のような持病を抱えた状態で手術を実施すると、体に悪影響をおよぼす可能性があります。したがって持病がある場合は、手術を実施できないケースもあるでしょう。
インプラント治療を実施する患者さんは、40〜60代が多いとされています。40〜60代の人々は仕事や育児に追われているため、歯のメンテナンスを丁寧に行うのが難しくなります。メンテナンスが不十分であることから口内が病気になり、インプラントを使用することになる人が多い、というのが定説です。
なお、平均年齢より若いからといって早すぎるということもありません。若い方は体が健康なケースも多いため、歳を取ってから受けるよりもリスクを抑えて治療が受けられます。また、骨の量も高齢者より多く、免疫力も高いため、安心感を持って治療できるでしょう。
インプラント治療は原則20歳以上が適正年齢です。対して、上限については明確な基準が存在しません。しかし手術によってトラブルが発生する可能性があったり、メンテナンスが難しかったりすることから、80歳以上の高齢者には治療が難しいとされています。
体の健康状態や顎の成長度合いは人によってそれぞれであるため、治療を受けたい方は一度医師に相談してみるのがおすすめです。
山手歯科クリニックは、インプラントについての深い知識や経験を持つ担当医が治療を行っています。安心感のある治療を受けたい方は、ぜひ一度お越しください。
監修:理事長/齋藤和重
2022/12/16
インプラント治療とは、失った歯を人工の歯で補う治療のことです。事故や病気で歯をなくした方の場合、インプラントを行いたいと考えている方も少なくないでしょう。
しかし一方で、インプラントは金属を使用すると聞き「アレルギー反応が起こらないだろうか」と心配している金属アレルギーの方もいるはずです。そこで当記事では、金属アレルギーの人でもインプラント治療が可能であるかどうかや、金属アレルギーの概要、気を付けるべきポイントやアレルギーを起こしやすい金属などについて解説します。
インプラント治療によって金属アレルギーの症状が出ないか不安な方は、ぜひお読みください。
結論からいうと、通常の金属アレルギーであれば、基本的にインプラント治療を行っても問題ないケースがほとんどです。インプラントで使用する人工歯根は、チタンという金属でできています。チタンは金属であるものの、ほかの金属と比べるとアレルギー反応が起こりにくい物質であるとされています。
そのため、金属アレルギーがあっても症状が出ない場合がほとんどです。チタンは人の体に馴染みやすい物質であり、インプラントだけでなく人工関節にも使用されていることからも、安心感のある金属だということがおわかりいただけるでしょう。
ただし、金属アレルギーのほかにチタンアレルギーというアレルギーも存在する点には注意が必要です。チタンアレルギーの方はチタンに体が反応するため、悪影響をおよぼす可能性があります。
どういった金属にアレルギー反応を起こしやすいのかは、人によって異なります。チタン製であれば問題ないのかを確かめるためにも、一度皮膚科で検査を行ってみるのがおすすめです。
金属アレルギーとは、さまざまな金属に触れることによって発生するアレルギー性の接触皮膚炎のことです。金属が汗などの体液と接触すると、金属の成分がイオン化し、人間の体のタンパク質と結合します。その際に体のなかの白血球が金属イオンは敵だと判断した場合、白血球は攻撃を始めます。
白血球が攻撃を行う状態が金属アレルギーであり、攻撃によって体に炎症などの症状が表れるのです。金属アレルギーが発症すると、金属と接触した直後や数日後に、以下のような症状が表れます。
金属アレルギーの人やアレルギーの疑いがある人がインプラント治療を受ける際は、以下のポイントに注意しましょう。
治療を始める際、あらかじめ医師に金属アレルギーであることを伝えておくようにしましょう。インプラントに使用されているチタンは、金属アレルギーを発症するリスクがほとんどない物質です。とはいえ「絶対に発症しない」といい切ることはできません。したがって、治療の安心感をより高めるためにも歯科医師に伝えるのがおすすめです。
金属アレルギーであると伝えた場合、医師から皮膚科を紹介されたり、パッチテストが追加で実施されたりするケースもあります。パッチテストでは主に、以下のような金属へのアレルギー症状の有無をチェックできます。
上記の金属は歯の治療をする際によく使われる金属であるため、パッチテストを行うことで今後の歯科治療をより安心して受けられるようになるでしょう。
インプラント治療では、失った歯を補うために被せ物を使用します。金属アレルギーの人はアレルギー反応が起こるのを防ぐためにも、反応が起こりにくい素材の被せ物を使用するようにしましょう。
メタルボンドのような素材は反応が起こりやすいとされているため、注意が必要です。アレルギー反応が起こりにくい素材の例としては、以下のようなものが挙げられます。
現在までに金属アレルギーの症状を感じたことがない人でも、インプラント治療によって金属アレルギーを新たに発症してしまうリスクもあります。治療を行った場合、普段では考えられないような長い間、口のなかに金属を置いておくことになるためです。
以下では、インプラント治療で金属アレルギーを発症した際に起こる症状について解説します。
インプラント治療によって金属アレルギーを発症してしまった場合、体に以下のような症状が表れることがあります。
インプラント治療を行ったあとに上記のような症状が見られた場合は、念のため歯科医師に相談してみましょう。症状が表れた場合、まずは歯科医師が監督のもと、しばらく様子見を行います。もしも症状が大きく進行するようであれば、治療を取りやめ、骨に埋入したインプラントを取り除くケースもあります。
金属のなかにも、アレルギー反応を起こしやすい金属と起こしにくい金属が存在します。とくに以下の金属はアレルギー反応を起こしやすいとされているため、アレルギーの方は注意が必要です。
・水銀
水銀は、水銀体温計や水銀電池、蛍光ランプなどに使用されている金属です。人体に悪影響をおよぼすリスクがあるとされていることから、2020年には水銀を使った製品の輸出や製造が規制されました。
・コバルト
コバルトとは、リチウムイオン電池や入れ歯、磁石などに使用されている金属のことです。
・ニッケル
ニッケルとは、お金やお皿、メガネのフレーム部分など、さまざまな場所で使用されている物質のことです。数ある金属のなかでも、金属アレルギーを発症させることがとくに多い金属だといわれています。
金属アレルギーを持っていること自体が、治療費に直接影響を与えることはありません。しかし、アレルギー反応を起こさないために被せ物に工夫を行う場合などは、治療費が高くなるケースがあります。
金属アレルギーを持っていない人の場合、インプラントの被せ物にメタルボンドを使用可能です。しかしメタルボンドは、金属アレルギーが発症しやすい金属だといわれています。
したがってアレルギー反応が心配な方は、メタルボンドではなく、オールセラミックなどの素材を使用するのが安心だといえます。オールセラミックはメタルボンドよりも料金が高くなりやすい傾向にあるため、必然的に治療費が高くなってしまうことにつながるでしょう。
インプラントはアレルギー反応が起こりにくいチタンを使用しているため、金属アレルギーを持っていても治療できるケースがほとんどです。ただし「絶対に問題がない」といい切ることはできないため、アレルギーを持っている方は事前に医師に相談してみることをおすすめします。
山手歯科クリニックは、患者さんへの治療の説明と同意を重要視するクリニックです。安心して治療を受けたい方は、ぜひ一度お越しください。
監修:理事長/齋藤和重