2023/11/09
インプラントは欠損した歯の代わりに人工の歯根を埋めて土台をつくり、上にセラミック素材の被せものを装着した人工歯です。
そんなインプラント治療の歯磨きについて知っていますか。
この記事ではインプラントの歯磨きやメンテナンスについて分かりやすく解説します。
インプラント治療後は歯磨きが重要です。
インプラントはセラミック素材でつくられた人工の歯なので、虫歯になることはあり得ません。
しかし、インプラントの歯の治療を終えて安定期に入った後は、通常の歯と同様に歯磨きをしっかり行う必要があります。
なぜなら、歯根の代わりとしてインプラントの人工歯根が埋まっている周りには歯石や歯垢といった汚れがたまるからです。
細菌が繁殖すると、インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎といった歯周病に似た症状を引き起こしてしまいます。
インプラント周囲粘膜炎とは、インプラント周辺の粘膜が炎症を起こしている状態です。
インプラント周辺の歯茎が赤く腫れたり、歯磨きをすると歯茎から血が出たりといった症状が見られます。
そのまま放置していると、インプラント周囲炎へと進行していくので注意が必要です。
インプラント周囲炎とは、インプラント周囲粘膜炎よりも症状が重く、炎症が骨まで進行した状態です。
炎症が骨まで到達したことで骨に埋め込んだインプラントがグラグラと揺れます。
さらに進行が進むと、歯槽膿漏で歯が抜けてしまうようにインプラントが抜け落ちてしまうことがあるため、注意しましょう。
インプラントは人工歯なので、自分の歯と同じように歯磨きしてよいのか分からないと考えている方も少なくありません。
インプラントに使用する歯磨き粉は特定のものが必要なのか・向いているもの、向いていないものがあるのかについて解説します。
インプラントに使用する歯磨き粉は、市販のもので問題ありません。
歯科医院で販売している歯磨き粉も良いのですが、市販の歯磨き粉でも選び方に気を付ければ大丈夫です。
研磨剤が含まれている市販の歯磨き粉がインプラントに使用できるのかについて解説します。
歯の表面についた汚れが、研磨剤によって綺麗に取れると愛用している方も多いでしょう。
しかしインプラント治療後に使用する歯磨き粉として、研磨剤入りはおすすめできません。
インプラント治療後だけでなく、天然歯にとっても研磨剤入りの歯磨き粉はデメリットがあることが分かっています。
確かに汚れは研磨剤によってよく取れますが、削れた部分には汚れが付着しやすくなってしまうのです。
インプラントの場合も研磨剤でダメージを受けます。
さらに研磨剤がインプラントと歯茎の間に入り込んでしまい炎症を引き起こしてしまう可能性があるため、研磨剤入りの歯磨き粉は避けた方が良いでしょう。
研磨剤入りの歯磨き粉同様に問題となるのが、顆粒の入った歯磨き粉です。
顆粒入りの歯磨き粉には、研磨剤が含まれていることが多いのでおすすめできません。
歯科医院で販売している歯磨き粉なら、粒子の荒い研磨剤ではなく低研磨のものが多めです。
炭酸カルシウムやケイ素が含まれているものでなければ、あまり心配はないでしょう。
ご自身では判断が難しい場合は、歯科医院で相談してから使用すれば安心です。
しかし市販品をドラッグストア等で購入する際は、成分表示を確認するようにしてください。
薬剤師の方が常駐しているのなら、相談してみるのも良いでしょう。
虫歯予防のためにフッ素入りの歯磨き粉を使用している方も多いかもしれません。
フッ素入り歯磨き粉をインプラントに使った場合の懸念点として、フッ素がインプラントを侵食してしまう可能性が挙げられます。
しかしインプラントを腐食するフッ素の濃度は「1,500ppm以上」です。
日本で市販されている歯磨き粉に含まれているフッ素の濃度は「1,000~1,500ppm」なので、特に問題はありません。
フッ素には歯を初期の虫歯から守る効果があるといわれています。
歯質の強化に役立つので、天然歯にはフッ素入りの歯磨きの使用がおすすめです。
日本の歯磨き粉のフッ素の含有量ではインプラントへの心配はありませんが、気になる場合は歯科医院で相談してから使用してください。
インプラント治療後は、インプラントに悪い影響を与えない歯磨き粉を選ぶべきです。
研磨剤・顆粒の含まれていない歯磨き粉を選ぶようにしましょう。
選ぶのが難しい場合は、歯科医師や歯科衛生士に紹介してもらうと安心です。
歯磨き粉には大きく化粧品(ハミガキ類)と医薬部外品(薬用ハミガキ類)の2種類に分かれます。
歯磨き粉のパッケージや裏面等に記載されているので確認してみましょう。
なぜ歯磨き粉が化粧品になるのかと思う人もいるでしょう。
しかしスッキリとした爽快感が得られる香味成分や、歯の表面の汚れを落とす研磨剤・湿潤剤・発泡剤が基本成分となる歯磨き粉は、化粧品(ハミガキ類)に分類されます。
歯磨き粉には医薬部外品もあります。
医薬部外品(薬用ハミガキ類)とは、歯質を強化して虫歯を予防する効果が期待できるフッ素や、タバコのヤニを除去する効果の期待できるポリエチレングリコールなどの有効成分が添加されている歯磨き粉のことです。
成分表示をよく確認して、避けるべき成分が入っていないものを選ぶことが大切です。
歯磨きにあたって、インプラントとそれ以外の部分を分けるべきか疑問に感じている人も多いでしょう。
インプラントの部分以外の歯磨きと、インプラント部分の歯磨きとで分けて歯磨きする必要はありません。
インプラントの部分も、天然歯と同様に汚れを丁寧に取り除く必要があります。
インプラント治療は、一度の手術で治療が完了するわけではありません。
歯根を骨に埋める段階から人工歯を装着するまで段階を分けて、半年ほどの期間をかけて治療を進めていきます。
治療の段階ごとによって口の中の状態は異なるので、治療過程の歯磨きについて注意するべきポイントを解説します。
2回法と呼ばれる治療では、最初の手術でインプラント体をアゴの骨の中に埋め込み、そのまま歯肉を縫合して閉じます。
初回の手術が終わった段階では傷口のような状態なので、刺激を与えると悪化しかねません。
そのため手術直後からしばらくは、インプラントの部分はなるべく触れないように、うがいもやさしく済ませましょう。
インプラント体が定着するまでは人工歯を装着できません。
傷口から細菌が入り込んで炎症が起きることがないよう、柔らかい歯ブラシを使ってやさしく磨きましょう。
細菌が繁殖する原因となる歯垢は可能な限り取り除くことが重要なので、デンタルフロスなども使用することをおすすめします。
治療をした部分以外は通常の歯磨きで問題ありません。
初回の手術で埋入したインプラントが定着したら、2回目の手術を行います。
2回目の手術では、1回目の手術で縫合した歯肉を切開し、中にあるインプラントに人工歯を装着して歯として使える状態にします。
手術後は装着した人工歯も通常の歯と同じように歯磨きしてください。
ただし、手術直後からしばらくはデリケートで炎症ができやすいため、柔らかい歯ブラシでやさしく磨きましょう。
傷が落ち着いてきたら、少しずつ固めの歯ブラシに変えていきます。
傷口の治るスピードには個人差があるので、歯ブラシを変えるタイミングは歯科医師や歯科衛生士に相談して決めると安心です。
治療が完了し、インプラントの歯も通常の歯と同じように使えるようになったら、インプラント治療を行う以前と同様の歯磨きで問題ありません。
ただし、インプラントの部分以外の歯周病・インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎のリスクに備えて、丁寧なセルフケアが必要になります。
そのため、歯磨き粉と歯ブラシだけのケアではなく、デンタルフロスや歯間ブラシなどを使用しましょう。
可能な限り歯垢や歯石といった汚れをしっかり取り除けるよう、念入りなケアを取り入れてください。
しかし、どんなに念入りに歯磨きを行っても、セルフケアだけでインプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎を防ぐには限界があります。
治療の後も定期的に歯科医院に通院し、インプラントのメンテナンスを受けましょう。
メンテナンスでは、インプラント部分の状態を確認するだけでなく専用の器具を用いてクリーニングを行います。
普段の歯磨きでは行き届かない部分の汚れもキレイに取り除くことが可能です。
インプラント治療後のケアで心がけたいポイントを紹介します。
インプラントを装着したら、傷口が落ち着いてきた段階で歯ブラシの硬さを変えましょう。
歯ブラシの硬さは好みで選んで構いません。
ただし硬すぎる歯ブラシは歯や歯茎にダメージを与えてしまうことがあります。
それだけでなく、細かいところに毛先が行き届かなかったり、磨き残しができたりする可能性があるので、歯ブラシは「ふつう」の硬さがおすすめです。
インプラント治療後は、虫歯の心配はなくなります。
しかし歯周病やインプラント周囲炎などの感染症から守るため、日頃の歯磨きで汚れを取り除くことが重要です。
歯と歯茎の隙間・インプラントと歯茎の隙間の汚れ・細菌をきれいに取り除けるよう、歯ブラシの毛先は「極細」や「超極細」と表記されている歯ブラシを使用しましょう。
毛先の細い歯ブラシを使用することで歯周ポケットに汚れがたまらないよう念入りにケアできます。
歯磨き粉と歯ブラシだけで歯や歯茎、インプラントやその周りに付着する汚れを取り除くのは大変です。
インプラント治療以前は歯ブラシしか使用したことがなかった場合も、フロスや歯間ブラシ、タフトブラシ等のアイテムを取り入れて念入りにケアをしましょう。
使い方が良く分からない場合や歯磨きに自信がない場合は、歯科医院でブラッシング指導を依頼することをおすすめします。
インプラントのケアは自宅でのセルフケアだけでは難しいです。
治療後は、年に2回は歯科医院でのケアすることが推奨されています。
歯科医院での専門的なメンテナンスが必要な理由について解説しますので、確認してみてください。
インプラントの治療後には、歯科医院でその後のメンテナンスについて説明を受けるでしょう。
少なくとも最低2年間は経過観察のためにも通院が必要です。
通院ではインプラントだけでなく天然歯の状態も確認します。
特にインプラントは人工物なので、メンテナンスを怠ると脱落してしまうなど、何かの拍子でダメになってしまう可能性があります。
そういったトラブルを未然に防ぐには専門的な定期メンテナンスが必須です。
定期メンテナンスをきちんと受けることは、トラブルの早期発見につながります。
何かしらのトラブルが見つかっても、インプラントの製造メーカーが設けた保証期間内であればすぐに対応してもらえる可能性が高まります。
インプラントの製造メーカーが設けている保証期間はおよそ10年前後です。
ただし保証を受けるためには、故意による損傷や脱落ではないこと・定期メンテナンスを受けていることが必要です。
治療期間や費用もかかるインプラントを長持ちさせるために、専門的な定期メンテナンスを受けましょう。
インプラントの定期的なメンテナンスを受けるのは天然歯にとってもプラスです。
治療後に注意すべきインプラント周囲炎等の病気は、歯と歯の隙間や歯と歯茎の隙間に汚れが蓄積して、そこに住み着いた歯周病菌が原因となり発症します。
歯周病にかかるのを注意しなければならないのは、インプラントだけでなく天然歯も同じです。
また天然歯はインプラントと違って、虫歯も防がなくてはいけません。
インプラントのメンテナンスで日頃のケアでは行き届かない場所のクリーニングをすると、天然歯にとっても虫歯の原因となる歯垢や歯石を取り除ける良い機会なのです。
インプラントはしっかりセルフメンテナンスと専門的なケアを継続すると、耐用年数といわれている10年は使用できるでしょう。
過去には40年以上もインプラントを使うことができたという症例もあります。
メンテナンスによっては、一般的な寿命以上に使い続けられる可能性があるのです。
それには適切なケアを怠らないことが必須の条件になるといえるでしょう。
インプラントを長持ちさせるためには、歯磨きをはじめとした適切なメンテナンスが重要だとお分かりいただけたでしょう。
何らかの事情により、インプラント治療を行った歯科医院に通院できなくなったり、定期的なメンテナンスができなくなってしまったりした場合には、インプラント治療の取扱いがある歯科医院に相談してみることをおすすめします。
日々コツコツと歯磨きによるセルフケアを行い、専門的な定期メンテナンスとのダブルケアでインプラントを守っていきましょう。
監修:理事長/齋藤和重
2023/11/09
歯を失ってしまった場合、そのまま放置するわけにはいきません。
特に前歯は目立つので、失った場合は身だしなみの点から見ても治療を急ぐ場合が多いのではないでしょうか。
本記事では、前歯のインプラント治療の費用や注意点などについて分かりやすく解説します。
虫歯や歯周病、またはスポーツや事故など、前歯を失う原因にはさまざまなものがあります。
前歯を失ってしまった場合の治療方法として、選択肢は3つです。
入れ歯、ブリッジ、インプラントそれぞれの特徴について解説します。
前歯を失った場合、部分入れ歯で補うことが可能です。
入れ歯では失った歯の部分を樹脂でできた人工歯で補い、両隣の歯に金属を引っ掛けることにより固定します。
入れ歯はバリエーションも多く、保険適用になるため費用も抑えることができるのがメリットです。
しかし入れ歯を安定させるために両隣の健康な歯に負担をかけることになるのがデメリットとなります。
取り外しが可能なので、お手入れの面では衛生的ですが、慣れるまで違和感があったり、食事や会話のしづらさを感じたりするかもしれません。
ブリッジは、失った歯の部分を人工歯で補って、両隣の歯には被せものを装着して固定する治療方法です。
被せものを装着するためしっかり固定でき、保険適用のものも選べるため費用が抑えられます。
しかしブリッジの場合も失った歯の両隣の歯に負担をかけることになるのがデメリットです。
ブリッジでは、被せものを装着するために健康な両隣の歯を削らなくてはなりません。
削ってしまうと元には戻らないため、慎重に決断する必要があります。
また、ブリッジと歯茎の隙間に食べカスなどの汚れが溜まりやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まるのにも注意が必要です。
インプラントは歯を失った部分に人工の歯根を埋め込み、その上にセラミック素材でつくられた人工の歯を被せることによって歯を補う治療法です。
構造的に天然歯に一番近いため、見た目も自然に仕上げられます。
また、失った歯の部分だけを治療するため、両隣の健康な歯を痛める心配がありません。
インプラントのデメリットは、保険適用外になるので他の2つの方法に比べて治療費が高くなることです。
しかし、インプラントはお手入れによっては半永久的に使用することができます。
他の2つに比べても耐用年数が長くなるため、費用の高さは一概にデメリットだともいえないでしょう。
インプラント治療費は、保険適用外であるうえに、外科的な処置になることもあり高額になるケースが多いです。
インプラントの治療費の相場について解説します。
奥歯をインプラント治療する際の治療費は、地域や歯科医院によって上下することもありますが、約30~50万円が相場です。
奥歯は力を入れるときに噛み締めたり、食べものを良く噛んで飲み込みやすくしたり、消化しやすくすることで胃腸の負担を軽減したりと重要な役割を担っています。
強い力のかかる大切な部位であるため、インプラント治療を選択するメリットは大きいといえるでしょう。
前歯1本あたりのインプラント費用の相場は奥歯より少し高めです。
奥歯に比べると、前歯では見た目の美しさが求められることから、人工歯の制作費用が高くなる傾向があります。
前歯は顔の中でも中心に位置しているため、審美性が求められる重要なパーツの1つです。
そのため、できるだけ自然で違和感のないように仕上げる必要があります。
前歯のインプラント治療では、天然歯のように自然な見た目と機能性を回復するために「歯槽骨(歯を支える骨)」と「歯茎」のベストバランスを実現させなければなりません。
前歯のインプラントは、奥歯のインプラントの治療費に比べて高額になる場合があります。
理由としては、前歯が奥歯よりも見た目が重視されることに加えて、前歯のインプラント治療の難しさが関係しています。
前歯のインプラントが難しいといわれるポイントについて解説します。
前歯のインプラントが難しいといわれるのには、骨が薄いことがあげられます。
前歯が埋まっている骨の厚さというのは、健康な人であってもハガキ1枚分程度だといわれています。
そこへインプラント体を埋め込むのが非常に難しいのです。
健康な状態でも難しいのに、前歯が失われた原因が虫歯や歯周病である場合には骨が溶けてしまっていて「ほとんど骨が残っていない」というケースもあります。
歯茎が下がるのも、前歯のインプラントが難しい理由です。
前歯にインプラントを埋める際には、骨が壊れてなくなってしまう骨吸収が起こる可能性があります。
骨吸収が起こると生じるのが、歯肉退縮という歯茎が下がる現象です。
それによってインプラントの金属部分(人口根)が露出してしまう場合があります。
また、年齢・歯垢・歯石によって歯茎が下がることもあるので、歯茎がどのくらい下がる可能性があるのかということも考えながら治療しなくてはなりません。
前歯のインプラントは、奥歯のインプラントに比べて見た目を非常に意識する必要があります。
「噛む」といった機能的なことはもちろん、見た目を自然かつ美しく仕上げるためには技術と知識、さらにインプラント治療に豊富な経験を持ち合わせているかが重要です。
前歯のインプラントには高度な技術が必要になることから、治療費に技術への対価が含まれている場合もあるでしょう。
前歯のインプラント治療では、「骨吸収」や「歯肉退縮」といったことが起こる可能性があります。
そのようなことが起こった場合、インプラントが抜けてしまうことも考えられるため、見た目の問題どころではありません。
骨吸収や歯肉退縮では、通常の手術に加えて、骨の厚みを出したり歯茎のボリュームを出したりする手術が必要です。
インプラント治療において、骨の厚みや高さが足りない場合に歯槽骨を再生する方法として、GBR(骨再生誘導法)というものがあります。
骨を増やしたい部分を「メンブレン」という人工膜で覆い、その中に自家骨(自分の骨)や人工の骨補填材を詰めて骨芽細胞の増殖を促す方法です。
自分の骨は一般的に下顎の先端や下顎の奥歯側から採取します。
インプラント治療において、歯茎のボリュームを出す方法が、FGG(遊離歯肉移植術)とCTG(結合組織(歯肉)移植術)です。
FGGは、遊離歯肉といって歯に付着していない先端部分の歯肉や歯茎を、ボリュームを出したい場所に移植することをいいます。
角化歯肉を増加させることができるため、審美性や清掃性が高まる上、歯の寿命を延ばすことが可能です。
CTGは、歯肉の硬い部分の下にある結合組織のみ移植を行って、移植元に対しては再生・移植先に対しては審美性と機能性を改善する治療法をいいます。
歯根面を覆う周囲の歯肉に対して厚みを増加させることができるので、審美的に優れた被せものを入れることが可能です。
インプラントは高額な医療費になるため、医療費控除の対象となります。
「医療費控除」という言葉を聞いたことはあるけれど、よくわからないという方に向けて解説します。
医療費控除とは、1年間に10万円以上の医療費を支払った場合に、所得税や住民税において受けることができる控除になります。
特に申請書のフォーマットなどはありませんが、年末調整では申請することができず、確定申告が必要です。
確定申告を行うことで、支払った治療費の一部が還元されることになります。
具体的な医療費控除の申請方法は以下のとおりです。
なお、控除対象の医療費には、治療費だけでなく交通費や薬代も含まれますが、駐車場は含まれませんのでご注意ください。
保険適用外の診療になるため高額になりがちなインプラントの治療費ですが、どんな支払い方法があるのでしょうか。
歯科医院によっても異なりますが、インプラントの治療費相場は1本あたり30~50万円です。
そして本数が増えるにつれて金額は上がっていきます。
一般的なインプラントの支払い方法について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
どこの歯科医院でも、現金でのインプラント治療費の支払いは可能でしょう。
一括払いのみ可能という歯科医院が多いかもしれません。
しかし院内独自で分割払いの方法を取り入れている歯科医院もあります。
「現金払いが好ましいけれど一括で支払うのは難しい」という場合、歯科医院に相談してみると良いでしょう。
また高額な治療費を持ち歩くのが不安だという場合も歯科医院に相談してみるのがおすすめです。
銀行振込での支払い対応を選べるかもしれません。
歯科医院独自で分割払いができる場合は金利がつかないケースが多いため、手数料負担が軽減できます。
歯科医院によっては、インプラントの治療費をクレジットカードで支払うことができます。
手持ちのクレジットカードで決済できれば、新しく審査などを受ける必要もありません。
クレジットカードで支払う場合、歯科医院によっては分割払いを選択できることもあるでしょう。
歯科医院で分割払いが選択できなかった場合でも、クレジットカード会社に連絡して後から分割払いに変更することができる可能性があります。
しかし、クレジットカードで分割払いを選択した場合には分割手数料が発生するので注意が必要です。
手数料分総額が増えることになるので、確認しておきましょう。
インプラントの治療費には、歯科治療専門の「デンタルローン」での支払いに対応している歯科医院があります。
デンタルローンを提供している会社が治療費を立て替えて歯科医院に支払ってくれる仕組みです。
その後は毎月分割でデンタルローン会社に治療費を返済していくことになります。
契約は「本人・デンタルローン会社・歯科医院」の三者間です。
歯科医院と提携しているデンタルローン会社を使用することになるため、自分でデンタルローン会社を選ぶことはできません。
デンタルローンを利用するには、審査に通る必要があります。
アルバイトやパートなど継続した収入が不安定だとみなされた場合「保証人」が必要となるかもしれません。
デンタルローンでインプラントの治療費を支払う場合、クレジットカードと同様に金利手数料が発生するので注意してください。
クレジットカードやデンタルローンは、歯科医院によって利用できる会社が決まっているケースがほとんどです。
現金以外の方法を選択する場合には、金利手数料がかかります。
そこで手数料がどのくらいかかって、治療費の総額がどのくらいになるのかあらかじめ計算しておきましょう。
一般的にクレジットカードの金利手数料は15%程度、デンタルローンの金利手数料は5~8%で、デンタルローンの方が金利手数料は低く設定されています。
支払方法の取扱いについては、歯科医院に相談してみましょう。
前歯を失った場合の治療法、インプラントで注意することなどについて解説してきました。
見た目の自然さや美しさから、前歯の治療にはインプラントの選択が適しています。
他の歯を傷つけないため、機能性でも適しているといえるでしょう。
歯が失われた部分をそのままにしておくと、歯並びや噛み合わせにも徐々に影響を及ぼすことにもなります。
そこで前歯を失ってから、できるだけ早く治療をはじめることが大切です。
治療が完了するまである程度の期間がかかるインプラントですが、前歯の場合は必ず仮歯によって見た目を整えるので心配ありません。
ご自身の前歯のインプラントが難しいケースなのか、そうでないかも含めて、まずは歯科医院へ相談してみることをおすすめします。
監修:理事長/齋藤和重
2023/11/09
安心してインプラント治療を受けられる歯科医院を見つける方法を知っていますか。
インプラントは外科的要素が大きく、高度な技術を必要とする手術である上に、保険適用外のため費用も高額です。
この記事では、安心してインプラント治療を受けるために信頼できる歯科医院を選ぶポイントについて解説します。
インプラントとは、歯を失った部分に人工の歯根を埋入して、作った土台の上にセラミック素材の人工歯を被せて歯を補う治療法です。
従来は歯を失った場合の治療法は入れ歯かブリッジでしたが、インプラントは第三の治療法として1960年代に登場して以降、どんどん進歩して今に至ります。
インプラントは保険適用外で基本的に自由診療なので治療費は高額です。
しかし他の2つの治療法と比べて、見た目が自然で綺麗に仕上がるため、女性を中心に人気の高い治療法となっています。
インプラント・入れ歯・ブリッジの特徴を簡単にまとめると以下のとおりです。
インプラント | 入れ歯 | ブリッジ | |
---|---|---|---|
寿命 | 半永久的 | 7~8年くらい | 7~8年くらい |
特徴 | ●保険適用外
●機能性:天然歯と変わらない ●審美性:見た目が自然で綺麗 |
●保険適用
●機能性:咀嚼力が低下する ●審美性:入れ歯のバネが目立つ |
●保険適用
●機能性:天然歯と変わらない ●審美性:金属部分が目立つ |
ブリッジや入れ歯と比較すると、インプラントが一番本来の歯に近い構造だといえます。
また、失った歯の部分のみに施術を行い両隣の歯に負担をかけることがほぼ無いため、おすすめの治療法です。
入れ歯は、数本の歯を失ったしまった部分に人工の歯を人工樹脂によって連結させて作成したものです。
部分入れ歯の場合は両端に金属を付け、健康な両隣の歯に金具を固定して装着します。
主に3本以上の歯を失った場合の治療法として適しており、すべての歯が無いケースでは、総入れ歯を装着します。
ブリッジとは、失った歯の両隣の歯を削って、「人工の歯と支える両隣の歯に装着する被せものを連結させたもの」です。
主に失った歯が1、2本の場合に行う治療法です。
削った両隣の歯に負担がかかるため、支える歯の寿命が縮まってしまいます。
インプラントは、歯科医師であれば誰でも治療をする資格があります。
しかし、どこの歯科医院でもインプラント治療が受けられるのかというと、そうではありません。
なぜならインプラントは外科手術を伴うこともあり、整った設備も必要になるほか、高い技術と豊富な知識を必要とする高度な歯科医療だからです。
インプラント治療を診療内容に含んでいない歯科医院もあります。
インプラントは歯科医師であれば治療を行う資格を有していますが、認定資格制度もあります。
「認定資格」は何にあたるのかというと、インプラントの標準的な診断・治療方法の選択・適切な処置が行える医師であることを見極めるための指標の1つになるものです。
インプラント専門医とは、日本口腔インプラント学会が、インプラント治療の知識や経験を持つものとして認めた歯科医師に交付する資格認定制度になります。
インプラントの専門医とは何なのかについて詳しく解説します。
インプラントの認定資格は、日本口腔インプラント学会以外にも、インプラントメーカーが認定しているものなどが存在します。
比較的取得することが可能なものから、一定の水準以上にクリアしていないと得られないものまで、資格もさまざまです。
ここでは、一例として日本口腔インプラント学会の認定する「インプラントの専門医」について紹介します。
日本口腔インプラント学会の場合、インプラント専門医になるためには、学会や講座を受講して知識を深め、専門の研究施設にて指導医のもと経験を積む必要があります。
試験や論文など、幅広い知識や経験を重ねた上で推薦をもらわないと認定されないので、インプラント治療を受けるための歯科医師選びの際に基準の一つとして確認しても良いでしょう。
クリアしなければならない条件は以下のとおりです。
また、このインプラント専門医は更新制になっていて、積極的にインプラントに注力して新しい技術や情報を得ている歯科医師が多いのが特徴です。
学会や勉強会で自身が治療した患者以外のケースを学べ、他の医師との意見交換で知識や情報を得られるので、資格を有していることは歯科医師選びの判断基準になります。
上記で紹介した資格はインプラント治療において、優れた専門知識や技術を有していることを証明するものになります。
しかし資格を有していないからといって、必ずしもその医師に知識や技術がないとは限りません。
資格を有していなくとも、豊富な臨床経験を経て経験値による知識と技術を持つ優れた歯科医師はたくさん存在します。
専門員の資格を得るための論文・学術大会・講座には時間が必要です。
すでにたくさんの患者さんを抱えている歯科医師であれば、毎日の診療でスケジュールが忙しく、あえて資格を取得していないというケースもあります。
インプラント治療を依頼する担当医を選ぶ際に押さえておきたいポイントを紹介します。
インプラントの治療自体は危険なものではありません。
ただし外科手術になるため、歯科医師のスキル不足・経験不足が事故や失敗につながってしまうという側面があるのは確かです。
そのため、インプラント治療をお任せする歯科医師のインプラント治療の実績と経験を確認することが安心につながります。
インプラントの治療は他の治療法に比べると治療期間がかかり、治療後も定期的なメンテナンスが必要になるため、必然的に担当医と長い付き合いになります。
メリットだけでなく、デメリットやリスクも踏まえて説明してくれているか、インプラント以外の治療法についても選択肢を示してくれているか、という点もよく見極めてください。
また不安・懸念・治療においての希望などについても丁寧に聞いてくれる、といった寄り添いが感じられるかどうかも大きなポイントです。
インプラント治療は保険適用外の自由診療になるため、費用も高額になります。
「そんなことは聞いてなかった」というような行き違いやトラブルが起きないように、治療費・治療期間・治療計画・保証内容などの説明はしっかり確認しておくことが重要です。
説明漏れや聞き漏らし、理解や同意の行き違いが発生しないよう、書面による説明やプランの提示があるかという点も確認しておきましょう。
インプラントを長持ちさせるためには、お口の中の全体的な健康を維持していくことが大切です。
インプラントの部位だけを治したり、メンテナンスをしていったりすれば良いだけではありません。
インプラント治療を行うと、その後も定期的な検診とメンテナンスに通うことになります。
その際のフォローやメンテナンスにおいて、お口の中全体の状態を考えて対応してくれるかどうかは非常に大切なポイントです。
インプラントや虫歯だけでなく、歯周病やかみ合わせ等も診てくれているかという点も確認しておきましょう。
インプラントを受ける歯科医院を選ぶ際のポイントについて解説します。
医院は清潔であることが第一なので、歯科医院の清掃レベルもチェックしておきましょう。
清掃が行き届いていない歯科医院では、高いレベルの治療が難しくなります。
衛生面に不安がある医院で治療を受けることはおすすめできません。
インプラントは外科治療です。
何よりも安心・安全に配慮し、徹底した滅菌と感染症対策が非常に重要です。
精度の高い安全な歯科治療を提供するために、滅菌環境を完備し、手術室の衛生面においても徹底管理している歯科医院を選びましょう。
精密な検査ができるよう、設備が整っている歯科医院を選びましょう。
顎の骨にはくぼみがあって神経や血管が多く通っており、複雑に入り組んでいます。
この神経を傷つけてしまった場合には、唇や顎の周囲に知覚の麻痺や鈍麻や痺れといった後遺症が残ってしまうようなケースが起こり得るのです。
レントゲン写真だけでは精密な判断は難しいため、安全かつ正確な手術を行うためには歯科専用CTなどの精密な機械での検査が不可欠となります。
歯科医院によっては手術を行う医師ではないスタッフがCT撮影を行ったり、カウンセリングを担当したりするケースがあるようです。
しかし実際に手術を担当する歯科医師でなければ適切な診査や診断ができず、正確な治療計画を立てることが難しくなります。
分かりやすく丁寧な説明はもちろんのこと、検査においても不安要素が残ることのないよう、念入りに対応してくれるかどうかが重要なポイントになります。
インプラント治療では、定期健診やメンテナンスのために通院が必要になります。
そのため、通院しにくい場所に歯科医院があると、あとあと通院することがつらくなってくるかもしれません。
通いやすさだけを重視して選ぶわけにもいかないのがインプラント治療です。
しかし通いやすいところを選ぶことをおすすめします。
インプラント治療の担当医を慎重に選ぶ理由は、信頼して治療を受けることができるからです。
インプラントに限らずですが、どんなに注意していても治療後にトラブルが発生することがあります。
そのようなケースでも、慎重に選定した信頼できる担当医であれば、専門知識で対処することができるでしょう。
インプラント治療後に起こり得るトラブルをいくつか紹介します。
インプラントが骨と結合できず、脱落してしまうことがあります。
その主な原因はドリルのオーバーヒートです。
骨にドリルで穴をあける際に、ドリルが高温になりすぎて、骨が損傷することによって起こります。
また、インプラントを埋め込む際に角度や深度が不適切だった場合にも起こるトラブルです。
適切な位置に埋め込まれなかったインプラントには大きな負担がかかるため、結合できずグラグラしたり、脱落したりします。
インプラントの術後に周辺組織が炎症してしまうケースがあります。
その原因として考えられるのがメンテナンス不足です。
汚れが取り切れずに細菌が繁殖してしまったことで周辺組織が細菌に感染して炎症を起こします。
歯茎の腫れや出血を引き起こし、進行していくとインプラントがグラついてくるようになり、最悪の場合抜けてしまうこともあるので注意が必要です。
日々のセルフケアはもちろん、歯科医院での経過観察とメンテナンスを徹底しましょう。
インプラントは骨に埋め込んだ歯根を土台として、上部には冠部分を被せた2つの構成でできています。
連結しているアパッチメントの締め付けが不十分であった場合、被せものが取れてしまうかもしれません。
また上の被せものが取れてしまう要因の一つに嚙み合わせが合ってないケースも挙げられます。
嚙み合わせがズレてしまったことによって負荷がかかり、外れてしまうのです。
その場合は装着してもらうときに嚙み合わせを調整してもらうようにしましょう。
本記事では、インプラント治療を受ける前の歯科医院選びにおいて、チェックしておくべきポイントについて紹介いたしました。
信頼できる歯科医院、歯科医師に依頼することで、手術もその後の経過観察やメンテナンスも安心して過ごすことができます。
インプラントを検討中の方は、ぜひ今回紹介した注意点やポイントを頭において、ご自身にとって最適な歯科医院を選びましょう。
監修:理事長/齋藤和重
2023/11/09
インプラント治療を検討する際に、腫れ・痛みが気になる方は少なくありません。
どの程度腫れるのか・どのくらい腫れるのか・痛みはどれほど続くのか、その腫れや痛みにどう対処するのが適切か把握しておくことは大切です。
この記事では、インプラント治療の「腫れ」や「痛み」について解説します。
歯科で「インプラント」といえば、失われた歯根に代えて人工歯根を顎の骨に埋め込み、それを土台にしてセラミック素材などで作った人工の歯を取り付けて欠損した歯を補う治療のことを指します。
一般的には単に「インプラント」と呼ばれていますが、正式名称は「口腔インプラント」または「歯科インプラント」です。
インプラント治療は虫歯治療や入れ歯やブリッジなどの失った歯の治療に比べて、長い期間を要することが多いです。
カウンセリング(インプラントの相談)からのインプラント治療の大まかな流れは、以下の通りとなります。
詳細を解説いたします。
模型やCTなどによる十分な診査と診断を行い、いくつかの治療プランが提案されます。
また、インプラント手術の内容、治療にかかる期間、費用について説明が行われるのもこの時です。
歯を失った部分へインプラントを埋入する一回目の手術が行われます。
手術は、埋入する本数によっても異なりますが、1時間前後で終了です。
手術は局所麻酔をして行われるため痛みはありません。
笑気ガスなどの不安を和らげる麻酔も併用して行われます。
手術後には痛みが出ますが、1~2日程度で落ち着くことがほとんどです。
一回目の手術の後、インプラントが顎の骨にしっかりと定着するまで、およそ2~6か月ほど待機期間があります。
その後、インプラントのヘッドの部分を歯肉の上へと露出させるための2回目の手術を行う場合もあるでしょう。
インプラントの上に土台を取り付け、その上にセラミック素材などで作られた人工歯を取り付けます。
インプラントは装着して終わりではありません。
正しいホームケアを行うとともに、定期的に歯科クリニックにて専門的なケアを行うことが重要です。
インプラントを長く、良い状態で使い続けるために、3~6か月に1回は定期健診とメンテナンスケアを行いましょう。
痛みの感じ方には大きな個人差があります。
あらかじめどんな場面で痛みを感じるポイントがあるかを把握しておくと心構えができるため、気分も変わってくるでしょう。
インプラント治療を行う際には、どんな痛みが想定される場面があるのかについて解説します。
まず考えられるのが麻酔をする痛みです。
インプラント手術の間には、歯茎に局所麻酔をします。
局所麻酔は通常の虫歯治療の際に使用する注射の麻酔と同じものが使われますが、麻酔の注射自体が苦手で痛みを感じる方も少なくありません。
なるべく痛みを感じないようにできる限りの工夫は行われますが、人によっては痛みを強く感じるでしょう。
通常、麻酔が効いていれば手術の際に痛みを感じることはありません。
麻酔の効きが悪い場合でも追加できるので、安心していただいて大丈夫でしょう。
しかしインプラントの手術では骨を削るので、その際の振動を感じたり、押される感じがしたりすることがあります。
手術に対して恐れや不安があるとそれもストレスとなって、思ったよりも痛みに対して敏感になるかもしれません。
不安感がぬぐえないなど、心配がある場合は手術前に歯科医師に相談してみましょう。
インプラントの手術後に麻酔が切れると、抜歯した時のような痛みが出てくるでしょう。
インプラントの本数が多かったり、骨造成手術を行ったりした場合は、より痛みが強く出る恐れがあります。
痛み止めが処方されますので、出された痛み止めを服用すれば、次第に痛みは落ち着いてくるはずです。
1~3日ほどで落ち着いてくることがほとんどなので、あまり心配しすぎないようにしてください。
ただし、3日経っても強い痛みがおさまらない場合には、歯科医師に連絡してみましょう。
インプラントの治療では多かれ少なかれ腫れが発生します。
多くの場合、手術を行った組織が傷を治すために反応して腫れを引き起こしているので、心配しなくても大丈夫です。
どんな時に腫れるのか、どのくらい腫れるのかについて解説します。
インプラントの手術では歯茎を切開し、骨を削り、インプラントを埋入するため、歯肉の腫れや出血を伴うのが一般的です。
組織を切ったり、削ったりするのですから痛みが出ますし、腫れも伴います。
インプラント手術後の強い痛みは1~3日ほどで落ち着いてきますが、腫れはもう少し続きます
腫れも個人差はありますが、数日~2週間ほどでおさまってくることがほとんどです。
手術直後の腫れは、手術による歯茎の切開や骨を削ったことが原因であり、正常な反応なので心配ありません。
違和感があったり、痛みがあったりと落ち着かない状態でしょう。
汚れや細菌からご自身を守るためにも、口腔内を衛生的に良い状態を保てるようにケアを行ってください。
インプラントの治療からだいぶ期間が経っても腫れや違和感がおさまらない場合、インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎といった炎症を引き起こしている可能性が考えられます。
インプラント周囲炎は進行のレベルによって「軽度・中度~重度・重度以上」の三段階です。
炎症が進んでいくと、最悪の場合には骨が溶けてしまう可能性があります。
インプラントにぐらつきや脱落が出ることもありますので、早めに医師に相談してください。
炎症の予防対策として効果的なのは、清潔な口腔内を維持することです。
日々の歯磨きでセルフケアを行い、定期的な歯科でのメンテナンスで腫れが起きないように守っていきましょう。
インプラント治療後に強い腫れが落ち着かない場合、インプラントの結合がうまくいっていない可能性や細菌に感染してしまった可能性があります。
腫れが引かないときに考えられる理由も見ていきましょう。
手術中や手術後に患部が衛生的に悪い状態になると、細菌に感染してしまい腫れや痛みを引き起こす可能性があるでしょう。
口の中には、300~700種類の細菌が生息しているといわれます。
カンジダ菌・黄色ブドウ球菌・緑膿菌・肺炎桿菌など、たくさんの細菌が混在している状態です。
そのため、インプラントの手術では常に細菌に感染するリスクが伴います。
また、免疫力が低下すると最近は増殖してしまいますので、体調への注意が必要です。
細菌は口蓋や舌の表面にも潜んでいますので、歯だけでなく舌や粘膜の清掃もしっかり行うように心がけましょう。
外科的なダメージが大きいときも、腫れや痛みが引かなくなる可能性があるでしょう。
手術による組織へのダメージは、医師のの技術によって大きく影響が異なります。
考えられるのが、インプラントの治療経験や手術実績に乏しい場合や、適切な準備がされていない場合などの外的要因です。
必要以上に歯茎や顎への外科的なダメージを与えてしまうことがあれば、手術後の回復にも影響を及ぼし、腫れや痛みも長引くことになります。
インプラントの手術では、顎の骨にインプラントを埋め込むために専用のドリルを使用します。
このドリルの取扱いが不適切だとオーバーヒートを引き起こし、顎の骨にやけどを生じる場合もあるのです。
顎の骨にやけどを負った場合、腫れや痛みが長引くことになります。
腫れや痛みが生じたら、なるべく早く落ち着かせたいものです。
そこでインプラント治療の際に生じた腫れや痛みを軽減する方法について解説します。
腫れや痛みがあって傷口が気になっても、舌や指でさわらないことが大切です。
健康な人でも、舌の表面や粘膜には数百万もの細菌が棲んでいるといわれています。
無意識に舌で触ってしまわないように注意しましょう。
腫れや痛みを軽減するためにも、口腔内は清潔に保ちましょう。
口腔内が不潔になると細菌に感染する危険性が大きくなります。
インプラント手術直後は手術部位を避けて通常通りの歯磨きを行ってください。
手術部位の周辺は汚れが残らないよう軽くゆすぐなどをして食べカスを取り除きましょう。
細菌を増やさないためにも口腔内のケアをしっかり行うことが大切です。
インプラントの手術後には、消炎鎮痛剤や感染予防のための抗生物質といった薬が処方されます。
鎮痛剤は痛みが落ち着いてきたら服用しなくてもよいでしょう。
しかし抗生物質は腫れや痛みに関係なく指示された期間は必ず服用してください。
もし処方された薬を服用しても症状が引かない等、異変を感じたら早めに歯科医院に相談しましょう。
飲酒は痛みや傷の腫れを大きくしてしまう可能性があるため、少なくとも手術後3日程度は控えます。
喫煙は傷の治りを悪くするほか、インプラントと骨がうまく結合しない原因にもなりかねないため、手術後は控えるようにしましょう。
喫煙に関しては、手術後でなくともインプラントを早く駄目にしてしまうリスクがあるため注意が必要です。
インプラントを長持ちさせたいと考えるのであれば、健康のためにも禁煙することをおすすめします。
手術後は運動や入浴を控えるのも大切です。
激しい運動・熱い湯船・長風呂は全身の血行がよくなります。
血流が増えると患部の腫れや痛み、出血につながるため、インプラントの手術後3日程度は控えるようにしましょう。
インプラント手術後の痛みや腫れを早く落ち着かせることができるよう、セルフケアでできる対策を紹介します。
腫れや痛みを感じたら、ぜひ試してみてください。
痛みや腫れを感じているときの患部は、強い炎症反応が起こっている状態です。
特に手術を終えた日は、痛みや腫れが強く出る傾向がありますので、できるだけ冷やすようにすると効果的です。
冷やすときに直接氷をあてるのは良くないため、冷たい水を含ませたタオルなどで冷やすようにします。
ただし、手術を受けた翌日以降は、よほど腫れや痛みが強く出ていない限りは冷やさない方が良いので注意してください。
冷やしすぎるとかえって傷の治りを遅くしてしまう可能性があります。
インプラントの手術後は、しばらくの間は硬いものを噛まないよう注意が必要です。
インプラントの手術では顎の骨に穴を開けるなどの負担をかけています。
そこで食事にはおかゆや豆腐、ヨーグルトなどの柔らかいものを選び、少しでも顎の負担を軽くすると良いでしょう。
腫れや痛みが落ち着いてきたら、少しずつ普段の食事へと戻していくようにします。
刺激物を食べないのも腫れや痛みの軽減につながります。
インプラントの手術後び刺激物を取ると治りが遅くなる可能性があるため、あまり良くありません。
しばらくの間は、香辛料などの刺激物・硬いもの・熱いものなどは避けることをおすすめします。
本記事では、インプラント治療の際に生じる痛みや腫れの原因や、対処法について解説してきました。
インプラントの治療で痛みや腫れを最小限に抑えるには、外科的なダメージを最小限に抑えることがポイントです。
歯科用CTなどの精密検査に基づいて骨の形・重要な血管・神経の位置を正確に把握して精密な外科処置を行うことで、歯茎や顎の骨に与えるダメージを少なくすることが可能になります。
技術レベルの高い歯科医師ほど、ムダのない動きで正確な外科処置を施すことが可能です。
外科的なダメージを極力抑えてインプラント治療を受けたいと考えるならば、経験豊富な歯科医師に施術してもらいましょう。
また、術中・術後の細菌感染予防の観点からも、インプラント手術は衛生的な環境で実施することが重要になってきます。
手術器具の消毒や滅菌処理が徹底されていることはもちろん、インプラント専用の手術室が完備されていると安心です。
口腔内の健康、歯の健康は身体全体の健康の入り口といっても過言ではありません。
痛みや腫れをできるだけ避け、後悔しないインプラント治療を受けるためにも、信頼できる歯科医師に施術をお願いしましょう。
監修:理事長/齋藤和重
2023/11/09
近頃は健康寿命が延びているため、趣味や娯楽など、老後の生活を楽しむ方々がたくさんいらっしゃいます。
元気な年配層が増えているとはいえ、やはり身体的な変化は否めないもので、歯もまた然りです。
年齢を重ねていくと虫歯や歯周病などのリスクが高まり、老後になるにつれて歯が抜けて失う機会も増えるでしょう。
歯が抜けた場合の治療法にはいくつかの方法があります。
この記事では、老後の生活においてインプラントを選択した場合のメリットやデメリットなどを解説しますので、ぜひご確認ください。
歯を失った際の治療法の選択肢には、主に「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」があります。
それぞれの治療法について解説します。
入れ歯は、数本の歯を失ったしまった部分に人工の歯を連結させて作成したものです。
部分入れ歯の場合は両端に金属を付け、健康な両隣の歯に金具を固定して装着します。
主に3本以上の歯を失った場合に適した治療法です。
すべての歯が無いケースでは、総入れ歯を装着します。
入れ歯は取り外しが可能なため、清掃しやすいのがメリットです。
ただし部分入れ歯の場合は、健康な両隣の歯に負担をかけることになるというデメリットがあります。
入れ歯はバリエーションが多く、さまざまな症状に合わせての製作が可能です。
保険適用の入れ歯を選択すれば、比較的安価に治療することもできます。
ブリッジとは、失った歯の両隣の歯を削って、「失った歯の部分の人工の歯と、支える両隣の歯に装着する被せものを連結させたもの」です。
失った歯が1、2本の場合に行われます。
ブリッジは取り外しができず、歯ぐきとの隙間に食べカスなどの汚れがつまりやすいので、虫歯や歯周病にならないようお手入れに注意が必要です。
また、削った両隣の歯には負担がかかるため、寿命が縮まってしまいます。
ブリッジを入れる部位によっては保険適用になるため、比較的治療費が安価です。
インプラントとは、歯を失った部分に人工の歯根を埋めて、その上に人工の歯の被せものを取り付ける治療法です。
ブリッジや入れ歯と比較すると、インプラントが一番本来の歯に近い構造だといえます。
また、失った歯の部分のみに施術を行うので両隣の歯にはほぼ負担がかかりません。
そこでインプラントはおすすめの治療法です。
入れ歯とインプラントの比較について、もう少しくわしく解説します。
寿命と保険適用の有無について見ていきましょう。
入れ歯の寿命はだいたい7年~8年です。
一方、インプラントは約10年~15年と長い傾向にあります。
ただし寿命はメンテナンス次第です。
どちらも歯の汚れを綺麗に取り除き、歯周病などのトラブルを予防する必要があります。
入れ歯は保険適用されますが、インプラントは保険適用外なので自費になります。
そのため比較するとインプラントの費用は入れ歯よりも高額です。
老後にインプラントを考える人も多いでしょう。
インプラント治療を検討し始めた際に知っておくと良いことについて解説します。
インプラントの治療を決断する前に、まずはインプラントの特性について知っておきましょう。
なぜなら、インプラントは治療をしたら終わりということではなく、メンテナンスが非常に重要だからです。
後悔しないためにも、治療期間や費用、入れ歯など他の治療法と比較した場合のメリット、デメリットともに把握した上で選択しましょう。
インプラント治療を安全に行うには、信頼できる歯科医院を選ぶのが大切です。
手術を行う前の段階で検査をしっかり行ってくれる歯科医院がよいでしょう。
インプラントは誰でも受けられる治療方法ではありません。
手術前の検査にてインプラント治療ができるかどうかを慎重に見極める必要があるのです。
歯科用CTは、レントゲン画像では分からない骨の状態や神経の状態まで把握できます。
歯科用CTを使ってしっかり調べてくれる歯科医院なら信頼できるでしょう。
老後にインプラントを選ぶにあたって、持病があるなら主治医に相談してみるのも大切です。
インプラント治療は外科手術になるため、持病がある場合は治療リスクが高まる可能性が考えらえます。
持病の種類によってはインプラント治療が受けられない場合もありますので、インプラント治療を始める前に主治医に相談してみてください。
また、インプラント治療を受ける場合、持病の主治医と歯科医とで連携が必要になる場合もあります。
インプラント治療を必要とされている高齢者の方も多くいらっしゃいます。
なぜなら歯が抜ける機会は、高齢になってからの方が多くなるからです。
老後にインプラント治療を選択するメリットを解説します。
老後にインプラントを選択すると、しっかり噛むことができるのがメリットです。
抜けた歯をそのままにしていると、嚙む力(咀嚼能力)が落ちてしまいます。
咀嚼能力が落ちてしまうと、消化が十分にできないので栄養が十分に摂れなくなったり、免疫力が落ちて疾患にかかりやすくなったりすることがわかっています。
特に最も失いやすい奥歯は、食物をすりつぶすのに欠かせない歯です。
インプラント治療で失った歯を補って咀嚼能力を回復させることは、身体の機能を維持することにもつながります。
認知症リスクを軽減できるのも、インプラントを選ぶメリットです。
老化によりリスクが高まるといわれている「認知症」ですが、厚生労働省の調査によると、咀嚼機能の低下と認知症の発症に関連性があることが分かっています。
その調査によると、歯が20本以上残っている人に比べて、それより少ない人は認知症になるリスクが1.9倍だと報告されているのです。
インプラントによって天然歯に近い形で失った歯を補うと咀嚼能力を改善できるため、認知症のリスクの軽減に影響を与えられると考えられます。
若々しい外見を保てるのもインプラントのメリットだと考えられます。
インプラント治療では、セラミック素材の人工歯を被せものとして装着することが多いです。
歯に合わせて色味を細かく調整することもできるので、見た目がとても自然に仕上がります。
歯がしっかり並んでいると、口元の膨らみや見た目が若々しくなるでしょう。
入れ歯であっても歯並びは作れると思われるかもしれません。
しかし金属を健康な歯に引っ掛けたり、樹脂の素材が目立ってしまったりする可能性があります。
自然で若々しい見た目にしたいのなら、インプラント治療の方が勝っているのでおすすめです。
健康な歯を傷つけずにすむのも、インプラントの大きなメリットです。
インプラント以外の失った歯を補う治療法では、健康な歯を削ったり、金具を引っ掛けたりする必要があります。
しかしインプラントなら健康な歯を犠牲にする必要がありません。
周りの健康な歯を傷つけることなく失った歯を補えます。
インプラントには会話がしやすいというメリットもあります。
歯を失うと話しづらくなり、話をうまく伝えられなくなることも増えるでしょう。
入れ歯を装着することで会話のしづらさは多少は改善されるはずです。
しかし話している最中にズレたり、外れたりといった心配があります。
また入れ歯は慣れるまで発話がしづらいのがデメリットです。
インプラントは天然の歯と同じようにアゴの骨に固定されるため、施術の後は歯が安定します。
話のしづらさから人間関係が希薄になってしまうことを防ぐ効果にも期待できるでしょう。
インプラント治療をすると、咀嚼の際に天然の歯と同じような刺激を与えることができるため、「骨吸収」を防ぐことができるのもメリットです。
歯を支える「歯槽骨」が溶けてしまうのが「骨吸収」です。
入れ歯やブリッジでは、失った歯があった部位に刺激を与えることができません。
そのため骨吸収されるといわれています。
しかしインプラントなら骨吸収の予防が可能です。
後悔しないよう慎重にインプラント治療を受けるか判断するためには、デメリットの把握も重要です。
メリットだけを見て決めないよう注意しましょう。
インプラント治療を選択する場合のデメリットについて解説します。
インプラント治療は、基本的に保険適用外の自由診療で費用がかかるのがデメリットです。
歯科医院によって費用が異なりますが、かかる費用はすべて自己負担で、1本あたり約30~50万円ほどが相場となっています。
また、インプラントの治療にはある程度の長い期間がかかるのもデメリットです。
埋め込んだインプラントが骨と結合するまで待たなくてはなりません。
個人差はあるものの、約3~6か月ほどの期間を要します。
保険診療で比較的安く短期間でく装着できる入れ歯とは、非常に対照的といえるでしょう。
インプラント治療を行うためには、人工の歯根をアゴの骨に埋め込むために外科的な処置を行う必要があるのもデメリットです。
入院は必要ありませんが、親不知の抜歯と同程度の身体的な負担があります。
身体的な負担は感覚的なもので個人差もあるでしょう。
しかし持病がある場合には服薬等の問題も合わさって、手術が難しくなることも考えられます。
手術以降もメンテナンスでの通院が必要になるので、定期的に通える体力がなければ、インプラント治療を選択するのは難しいかもしれません。
メンテナンスに手間がかかるのもインプラントのデメリットだといえるでしょう。
インプラントは、汚れをきれいに取り除いていないと「インプラント周辺炎」といった症状になりやすいです。
しかし、インプラント以外の治療法であっても、口腔内を清潔に保つための清掃は欠かせません。
たとえインプラントをしていなくてもメンテナンスや清掃を行わなければ、虫歯や歯周病になってしまいます。
インプラントは、骨の状態によっては受けられない場合があるため、誰でも受けられる治療法ではないのもデメリットです。
歯周病が進行し、歯茎だけにとどまらず骨にまで影響を与えてしまい、アゴの骨がどんどん痩せていったりするとインプラントを埋め込むことが難しいので治療が受けられません。
元々あった歯を支えきれないほどに骨が痩せてしまうなど、骨粗しょう症の方も治療できないと考えてください。
歯科医院によっては足りない骨を作る「骨造成」という手術を行ってくれる医院もありますが、どこの病院でも受けられる治療ではありません。
老後にインプラント治療を受けるにあたって、不安に感じる声が多いものについてお答えします。
ぜひ内容を確認して不安の解消に役立ててください。
寝たきりの状態になり通院ができなくなってしまうとインプラントのメンテナンスは難しくなります。
しかしインプラントのお手入れだけに留まらず、口腔内全般のお手入れがご自身では難しい状況になっているでしょう。
「お手入れ」で考えると「総入れ歯」が簡単にお手入れはできる方法になります。
とはいえ先のことを心配しすぎても解決にはなりません。
まずは寝たきりにならないように健康維持に努めていきましょう。
インプラントのお手入れが特別難しいように感じて不安になる方もいるかもしれません。
しかし、インプラントの治療を進めていく際に、歯科衛生士からブラッシング指導を受けてメンテンナンス方法を知ることができます。
インプラントのお手入れは特別難しいものではなく、実はご自身の歯のメンテナンスと大差はないので問題ないでしょう。
歯ブラシの正しいあて方や歯間ブラシの効果的な使い方などを教えてもらえれば、十分に口腔内をお手入れできるようになります。
年齢を重ねると残念ながら、歯を失う機会が出てくるでしょう。
60歳を過ぎると約80%の人が少なくとも1本以上の永久歯を失い、年々その数は増えていきます。
インプラントは天然の歯に近い形で失った歯を補うことができる治療法です。
本物の歯のようにしっかり噛むことができるので、インプラントは年々注目と人気を集めています。
しかし興味はあるけれどなかなか治療までは踏み込めないという方もいることでしょう。
人気があるのと、ご自身に合う治療法であるかは別になりますので、メリット・デメリットを理解した上で後悔のないように判断することが大切です。
まずは「かかりつけ医に相談」してみてはいかがでしょうか。
監修:理事長/齋藤和重