インプラントとは
インプラントのメリットとデメリット
インプラント治療には多くの長所(メリット)がありますが、その反面幾つかの短所(デメリット)もあります。また、インプラント治療は外科手術を伴うため、「全身的な健康状態」や「骨の状態」など、患者さまが手術可能な状態であるかどうか、より精密な検査で判断いたします。
精密検査後の正しい治療計画に基づき適切な治療を進めることが重要です。
インプラントの短所(デメリット)
誰にでも適応する治療ではありません
インプラントは外科手術が必要な治療ですので、重度の歯周病や糖尿病の方などインプラントができないケースがあります。
治療期間と治療費について
人工歯根と顎の骨が結合するまで時間がかかるため、治療完了までの期間が長くなります。また、インプラント治療は自由診療ですので、100%自己負担となり保険の適用ができませんが医療費控除の対象になります。
インプラント治療の効果
インプラントは顎の骨の中に固定されますので、噛んだときの感触や噛み応えが自分の歯に限りなく近い感覚に戻ります。そして、脳への刺激が強くなりますので、これまで入れ歯だった方がインプラントを入れると、多くの方が若々しく活力に満ちた人生に切り替わります。
<他医院でインプラント治療が難しいと言われた方へ>
インプラントの構造
インプラントは天然歯の構造を真似ています
天然歯は2つの主要部分でできています。一つは歯肉の上に位置する歯冠部です。もう一つは歯槽骨にしっかり収まっている歯根部です。
インプラント治療には幾つかの部品が必要ですが、主に必要な部品は2つです
一つは天然歯歯冠部と同じ形状になるように特別加工した修復物です。もう一つは天然歯根部の機能に取って代わるインプラントです。
インプラント治療の概要
インプラント治療の第一段階は、インプラントを骨に埋入します
埋入部位は徐々に治癒し始めます。骨の細胞がチタンに付着し始めます(オッセオインテグレーション)。全てのインプラント表面に骨が結合するには、大体2~4ヶ月かかります。
歯を失ってしまった場合の治療の選択肢
失われた歯の部分を早い内に修復しないと、歯を支えていた歯槽骨の吸収や歯並びに影響が出てきてしまいます。そうなる前に歯を失ってしまったら、できるだけ早く適切な治療を行うことが重要です。
一口に“失われた歯の修復”といっても、歯を1本のみ失った場合と、複数失った場合、また全ての歯を失ってしまっている場合によって修復方法が異なります。このページではそれぞれの修復方法について詳しくご紹介いたします。
単歯欠損を放っておくと…
私たちの歯はしっかり歯槽骨に固定されています
疾患、う蝕、または外傷により歯を欠損した場合、失われた歯の部分を修復しないと、支えていた骨の吸収が始まります。
隣接部分の支えを失うことで、両側の歯が欠損した歯に向かって移動し始めます
骨吸収と移動のパターンは個人差があり、欠損場所によって変わります。1本歯が移動すると他の歯も移動し、結果として全体が大幅に移動することになります。
歯が移動したり伸び始めた後は、歯肉や穴が開いた部分をきちんと磨けなくなり、歯周病が起きやすくなります。その結果、う蝕や歯肉の後退、さらなる歯の欠損に繋がってしまいます。
単歯欠損の治療の選択肢
インプラントを埋入する方法
第一の選択肢は、天然歯根をインプラントに置き換え、骨に埋入する方法です。アバットメントをインプラントに固定し、クラウンをアバットメントに固定します。選択肢としてのインプラントは天然歯の構造や機能をより近づけて模倣しています。インプラントは、骨の強固な基盤で安定性を保ちながら、咬合力や咀嚼力に耐えることができ、最も安全な方法であるといえます。インプラントは天然歯のような実感や機能を持ち、他のどの選択肢よりも長持ちすることが実証されています。
ブリッジでの治療
第二の選択肢は、ブリッジと呼ばれるものです。高速ドリルで両側の歯質の大部分を削り取ります。そこに作製した3ユニットブリッジを被せ、セメントで接着します。
しかし、欠損部分は歯根がないため、骨吸収が始まり、クラウン縁下にも歯垢が蓄積しやすくなります。両側の歯は歯としての十分な基本構造を失っているため、歯そのものが脆弱し、う蝕の影響を受けやすくなります。う蝕の進行により根管が感染し、そこから次の歯の喪失に繋がります。
喪失した場合は、さらに歯を削り、4ユニットブリッジをセメントで接着することでブリッジの修復が可能ですが、ここでさらなる骨吸収が起こり、う蝕や感染根管に繋がってブリッジの崩壊が始まります。
一本義歯での治療
第三の選択肢は一本義歯です。この方法では、天然歯根の欠落により骨吸収を引き起こす可能性が高くなります。なぜなら、義歯はしっかり結合されていないため、咬合力によって偏位、移動してしまうからです。部分義歯を使用している方の多くは、不快感や歯肉の炎症を引き起こします。
複数歯欠損を放っておくと…
歯は顎骨にある歯根に支えられています
う蝕、疾患、もしくは外傷によって歯を複数本欠損する場合があります。歯の欠損後すぐに顎の骨は吸収もしくは収縮を始めます。時間とともに顎堤は細くなり、治療の選択肢や可能性を制限していきます。
残存歯は、喪失した歯と骨の支えを失います。支えを失った歯は移動を始め、空白領域に向かって生えようとします。負担加重がそれらの歯を移動させ弱らせ、さらなる歯の喪失に繋がる可能性があります。
複数歯欠損の治療の選択肢(3本欠損した場合)
3本インプラントを埋入
第一の選択肢は、インプラントを3本埋入する方法です。各インプラントはそれぞれ喪失した歯根の代わりをします。次にクラウンが作製され、インプラントの上から被せられます。事実上骨吸収の可能性を排除し、天然歯に最も近い構造を作り出すことで、安定した治療を提供します。
固定式インプラントブリッジ
第二の選択肢は、固定式インプラントブリッジで2本のインプラントを埋入します。インプラントは安定性を持ち、周辺骨を活性化し、骨吸収を抑制します。連結したクラウンを作製した後インプラントに装着しますが、中央のクラウンは歯肉の上に乗ることになります。インプラントが埋入されていない中央のクラウンの下では、わずかな骨吸収が起こる可能性があります。
部分義歯の装着
第三の選択肢は、部分義歯の作製と装着です。部分義歯は歯肉の上に安定性の悪い構造体と共に装着されます。部分義歯は確実に結合しておらず、骨を活性化する歯根がないため、その部分の顎骨が収縮し始めます。部分義歯は顎骨の形状が変化することによって、次第に移動を始め、合っていた義歯に隙間ができてしまいます。時間とともにぐらつきによって周辺の歯肉に炎症が起き、痛みと不快感をもたらします。
全歯欠損を放っておくと…
天然歯は顎骨にある歯根にしっかり埋入されています。歯根は周辺骨を刺激し、顎骨の自然形状を維持する役割を果たしています。しかし、疾患、う蝕、もしくは外傷によって全ての歯を失ってしまうと、歯根を失い、本来の役割がなくなったことで顎骨は吸収もしくは収縮を開始します。
長期間全ての歯を失った状態でいると、長年の骨吸収によって顔の形状が変化してしまう恐れがあります。口と顎は潰れ、唇は細く見えるようになり、口や首周辺のしわが増加します。
全歯欠損の治療の選択肢
可撤性義歯の装着
義歯は歯肉上に緩く装着され顎骨としっかり固定されていない状態です。
可撤義歯のデメリット
可撤義歯はご自身の顎骨に合わせて作製されますが、時間とともに顎骨が収縮していくため、可撤義歯が緩んできます。義歯がずれ動くことによって歯肉に痛みが生じ、噛むことや会話が難しくなります。
骨吸収が進むことで、次第に義歯を安定させることが難しくなってきます。残った顎骨は太さが足りなくなり、顎骨の主要神経を咬合や噛むことの圧力から保護できなくなる恐れがあります。この圧力は非常に強い痛みと不快感をもたらします。これは義歯の管理を何年にも渡ってご自身に強いることになり、とても苦痛です。
インプラント治療法
可撤性義歯以外の選択肢はインプラントを使った治療法です。インプラントは顎骨にしっかり固定され、天然歯歯根の機能に取って代わります。
骨吸収を防止および停止させる唯一の実証済み方法は、インプラントを天然歯と置き換えることです。インプラントで安定的かつ長期的な解決策を手に入れ、痛み、不快感、不安定性、および骨吸収を抑制できます。
インプラント治療における一般的なリスクや副作用
- インプラント治療は、自費診療(保険適用外)となります。
- 骨の成長途中のお子様(およそ18歳未満の方)は、インプラント治療はできません。 また、痛み止め、抗生物質等を使用するため、妊娠中の方、妊娠の可能性のある方、授乳中の方は、インプラント治療を控えてください。
- 心臓の疾患、骨粗鬆症などの方は、内科的な側面からインプラント治療に適さない場合があります。また普段服薬しているお薬等も治療に影響する場合があるので、治療前に歯科医師に申告してください。
- インプラント治療は、外科手術を行う必要があります。手術では、今までは問題がなかった神経や血管などにも手を加えることがあるため、リスクが生じます。また、手術自体受けられない場合もあります。
- 免疫力や抵抗力が低下しやすく、歯周病の発生リスクが高いとされる糖尿病の方、口腔内の衛生状態の悪い方、あごの骨が足りない方、喫煙者の方は、事前に生活習慣の改善・治療が必要な場合があります。
- インプラント治療は、あごの骨に穴をあけて人工の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を被せます。インプラントが骨に接着するまでに約3カ月~6カ月の治癒期間を要します。また、骨造成手術を行う場合は、さらに治療期間がかかります。
- インプラント手術の際に下顎神経に触れた、もしくは近かったなどの影響により、下歯槽神経の損傷(知覚異常や鈍麻)を起こす場合があります。インプラントによる神経の圧迫・損傷・切断がある場合は、インプラントを撤去します。状況によっては、経過を見る場合や、内服薬で治療を行う場合もあります。
- 上あごにインプラントを埋める際に、上顎洞を破るリスクがあります。手術した時に感染が生じると蓄膿症になる場合があります。この場合、インプラントを除去することがあります。
- インプラント手術直後は、違和感・痛み・腫れ・出血などが発生する場合がありますが、一時的なもので、多くの場合2~3日でおさまります。
- インプラント治療後は、定期検診とメインテナンスを継続する必要があります。インプラントは日ごろから丁寧なメインテナンスが必要です。また、口の中の衛生状態が悪いと、インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)という病気にかかる可能性があります。