2023/12/08
インプラントの治療費は、高いというイメージを持っている人も少なくありません。
インプラント治療は決して安くはないものの、考え方次第では「高すぎるということはない」といえます。
この記事ではインプラントの治療費は全部でどのくらいかかるのか、費用相場などについて解説しています。
さまざまな事情によって大人の歯が抜けてしまった場合、抜けた場所をそのままにはしておけません。
限られた治療法の中から治療法を選択することになります。
歯が抜けてしまった場合の治療相場について解説しますので、チェックしてみましょう。
大人の歯を失ってしまった際に選択肢として選べる治療法にはインプラント・ブリッジ・入れ歯があります。
前歯、奥歯どちらの場合でも、この3つの選択肢は変わることはありません。
費用・見た目・耐用年数といった条件面と、噛みやすさ・メンテナンスといった機能性を考慮しつつ、ご自身にとって最適な治療方法を選択することが大切です。
「治療費」がどのくらいかかるのかも、治療方法を選ぶ決め手となるポイントの1つになるでしょう。
ブリッジと入れ歯は健康保険の適用を受けられる治療法もありますが、インプラントは「保険治療適応外」です。
そのため他の2つの治療費と比べると費用はかかります。
それぞれの治療方法の費用相場は以下の通りです。
治療内容 | 費用相場 |
---|---|
インプラント | 30万円~40万円 |
ブリッジ | 2万円~3万3千円 |
入れ歯 | 5千円~1万3千円 |
比較するとインプラントが突出して治療費がかかるように見えます。
しかし耐用年数で考えると入れ歯は5~6年、ブリッジは7~8年といわれているのに対し、インプラントは多くの人が治療後10年経っても使用できていることがわかるでしょう。
上記のことから考えても、インプラントはお手入れをしっかりと行っていけば半永久的に使用できる可能性があります。
インプラント治療の費用相場がどのくらいなのか、見ていきましょう。
一般的な奥歯のインプラント治療の相場は、1本あたり30万円~40万円ほどです。
東京都内の場合は50万円くらいする歯科医院もあります。
インプラントは基本的に自由診療で、費用設定は歯科医院次第です。
そこで施設内の設備や歯科医師の技量、使用するインプラントのメーカーなどによっても変わってきます。
奥歯のインプラント治療の費用相場は以下の通りです。
項目 | 費用 |
---|---|
検査・診断料 | 1万5千円~5万円 |
インプラント手術費用 | 15万円~35万円 |
上部構造(人工歯)の費用 | 5万円~18万円 |
合計 | 30万円~40万円 |
前歯は顔の中心部に位置していて見た目の美しさが求められる重要なパーツなため、抜けた歯を補う場合も自然で目立たないようにすることが重要です。
そのため前歯のインプラントは天然歯のような機能性の回復だけにとどまらず、「自然な見た目」が重要視されます。
前歯のインプラントの費用は、奥歯のインプラントとほぼ変わりありませんが、見た目のこだわりから上部構造(人工歯)に費用が高くなる傾向があります。
また、前歯の骨が薄い場合にはボリュームを整える必要があるため、手術が別途必要になることもあるでしょう。
項目 | 費用 |
---|---|
検査・診断料 | 1万5千円~5万円 |
インプラント手術費用 | 15万円~35万円 |
上部構造(人工歯)の費用 | 5万円~18万円 |
合計 | 30万円~40万円 |
全部の歯を失った場合、入れ歯にするなら「総入れ歯」を使うことになるでしょう。
全部の歯がなくなったところへインプラント治療を行う場合、1本ずつ埋め込む必要なく治療できる方法があります。
それは「All-on-4(オールオンフォー)」と呼ばれる治療法で、上顎・下顎を4本のインプラントで10~12本分の人工歯を支えるものです。
「上顎」か「下顎」のどちらか一方にAll-on-4(オールオンフォー)を行った際の費用相場は以下の通りです。
項目 | 費用 |
---|---|
検査・診断料 | 1万5千円~5万円 |
インプラント手術費用 | 120万円~180万円 |
部構造(人工歯)の費用 | 6万円~180万円 |
合計 | 200万円~250万円 |
インプラントとひと口に言っても、今ではさまざまなメーカーのものが存在しており、価格にも差があります。
歯科医院によって取り扱っているメーカーが異なることも、歯科医院ごとにインプラントの治療費にバラつきがある原因の一つです。
現在、日本で販売されている一般的なインプラントの「メーカー」と「種類」とその「価格」は以下の通りとなっています。
メーカー | 上部構造 | アパッチメント | インプラント | 総額(1本) |
---|---|---|---|---|
京セラ | 8万円 | ― | 8万円 | 16万円 |
ストローマン | 9万円 | 8万円 | 14万5千円 | 32万5千円 |
ノーベル | 9万円 | 10万円 | 20万円 | 39万円 |
インプラントの治療費はどうして高額になってしまうのか、その主な原因は大きく3つあげられます。
同じインプラントの治療を必要とする人であっても、当然のことながら口の中の状態は個々によって異なります。
インプラント治療を行うにあたり、特殊な道具や手術が必要となることもあるでしょう。
まず根本的な原因として、インプラント自体が安くありません。
なぜなら、人体に影響が少ない金属を加工する必要があり、自然な歯の形状や色味に適した仕上がりにするための技術も必要で、口腔内で長期間使用できる耐久性も求められるからです。
例えば金属アレルギーがあっても問題なく使えるように作られていなければなりません。
インプラントの原料が高くなれば、価格もそれに伴って高くなるでしょう。
人体に影響の少ない限られた金属を使用しなければならず、機能性や耐久性も兼ね備えなくてはならない「インプラント」が高額になるのは、至極当然だといえるでしょう。
インプラントは前段階から念入りな検査が必要で、顎や口腔内の状況に応じた前段階の処置もあります。
前段階の処置が必要かどうかは、以下のような検査によって判断されます。
すべて兼ね備えている歯科医院で検査から手術まで行える方が利便性が高いでしょう。
しかし歯科医院によっては院内に設備を有しておらず、提携している病院や別の病院で別途検査を受けてくるように伝えられる方もいます。
インプラント治療を安全に受けるために、どうしても避けられないのが前段階の検査です。
しっかり検査してクリアにしておくことで、「治療後に身体の不調をきたす」といったトラブルが起きるのを未然に防げます。
インプラントの技術は日々進化し続けています。
そのため、歯科医師も技術と知識の向上に力を注ぎ、習得のために多額の費用を費やしているのです。
またインプラント治療という高度な技術を支えるための設備を整えることにも費用がかかっています。
医療機器だけでなく、感染症対策を始めとした衛生面の環境整備も整える必要があるため費用がかかるでしょう。
高額だといわれるインプラント治療には、どんなメリットがあるでしょうか。
メリットについて解説します。
インプラントは天然歯に近い感覚でしっかりと噛めるのがメリットです。
例えば、失った歯を補う治療法として入れ歯を選択した場合、慣れるまで違和感を強く感じたり、しゃべりにくさを感じたりします。
また食べ物が入れ歯に挟まってしまってしっかりと噛めないといったことに悩まされることもあるでしょう。
インプラントであれば、自分の歯に近い構造なので、自分の歯と同じような感覚で過ごすことができるのです。
インプラントには、劣化しにくく骨と結合しやすいという特徴を持つ「チタン」という素材が使われています。
インプラントが骨にしっかりと固定され、強い力が加わることになっても耐えることができるので安心です。
インプラントは見た目の良さ、審美性にも優れているところが大きなメリットです。
保険適用の差し歯をしていると色味に不自然さが拭えなかったり、部分入れ歯を使えば固定するための金属がチラ見えしてしまったりするケースが発生します。
しかしインプラントではそういったことがありません。
インプラントの人工歯の部分にはセラミック素材やジルコニアが使用されることが多く、天然歯に近い自然で美しい歯を手に入れることができます。
歯を失ってしまった場合の治療法としてインプラントを選択する最大のメリットは、なんと言っても「自分の健康な歯を犠牲にしなくてよい」という点でしょう。
インプラント以外では、失った歯の代わりの人工歯を安定させるために金属を引っ掛けたり、歯を削って被せものをして連結させたりといった、両隣の健康な歯に負担をかける方法しかありません。
インプラントは両隣の歯の健康を犠牲にすることなく、独立した形で失った歯を補うことができるので、非常に優れた治療法だといえます。
人間は噛むことによって脳に刺激を与えることができ、それによって脳が活性されることが分かっています。
インプラントによって、天然歯のようにしっかり噛めるようになると、健康面・精神面の向上にも良い影響を与えるのです。
ほかの治療法では得られない優れたメリットがたくさんあるインプラントですが、デメリットもあります。
デメリットについてもチェックしてみましょう。
インプラントを検討する上で一番のネックといえば、やはり決して安いとは言えない治療費になるでしょう。
保険適用外の治療であるため、インプラント治療はどうしても他の治療に比べて高額にならざるを得ません。
しかし、お手入れ次第で長期にわたり使用することが可能なので、高額だとは一概に言えない側面もあります。
インプラントの治療は、その他の歯科治療と比較すると治療に要する期間が長いのもデメリットです。
手術以外にも抜糸や経過観察、定着期間などにより、最低でも5回は通院が必要になります。
ただし治療期間は口腔内の状態によって個人差があるものです。
詳細については担当の歯科医師に相談してみることをおすすめします。
インプラントの治療では、顎の骨に人工の歯根を埋め込むための手術が必要になるのもデメリットです。
麻酔をするため手術中の痛みは軽減されますが、骨を削るため腫れますし、術後1~3日程度は痛みも発生しますので、身体に負担がかかります。
持病があったり、妊娠の可能性がある場合は、前もって医師に相談するようにしましょう。
インプラントは治療が完了しても、それで終わりではなく定期的にメンテナンスが必須になるのもデメリットです。
メンテナンスでは、インプラントの定着状態や被せもの(人工歯)の嚙み合わせの調整や確認に加え、専門的なクリーニングなど必要に応じた処置が行われます。
インプラントを長持ちさせるためにも、メンテナンスには3か月に1回のペースで受けるようにしましょう。
現金一括でインプラントの治療費を支払える場合は、なんの問題もありません。
現金払いや銀行振込での支払いが難しい場合、クレジットカードの分割払いやデンタルローンを利用する方法があります。
ただし、歯科医院によってはクレジットカードやデンタルローンが使用できない歯科医院もあるので注意が必要です。
歯科医院によっては独自の分割支払いを実施しているところもありますので、相談してみることをおすすめします。
インプラントは高額な医療費になるため、医療費控除の対象となります。
医療費控除とは、1年間に10万円以上の医療費を支払った場合に、所得税や住民税において受けられる控除になります。
年末調整で行うことはできないため、医療費控除は「確定申告」で手続きを行います。
インプラントの治療費だけでなく、治療のために通院した際にかかった交通費も費用として申告することが可能です。
また、歯科医院での治療費に限らず、他の医療機関で発生した費用も合算して計算することができます。
還付金が返戻されたらインプラントの費用が間接的に軽減できたことになるでしょう。
東京都品川区YDC審美インプラント治療専門ガイド
監修:医療法人スマイルパートナーズ 理事長/齋藤和重
『山手歯科クリニック大井町』
住所:東京都品川区東大井5丁目25−1 カーサ大井町 1F
『山手歯科クリニック戸越公園』
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