インプラントの特性を知る|インプラント治療の腫れの原因や対処法について解説

歯科コラム

東京、品川区の歯科医院「山手歯科クリニック」歯科コラム

インプラントの特性を知る|インプラント治療の腫れの原因や対処法について解説

インプラント治療を検討する際に、腫れ・痛みが気になる方は少なくありません。

どの程度腫れるのか・どのくらい腫れるのか・痛みはどれほど続くのか、その腫れや痛みにどう対処するのが適切か把握しておくことは大切です。

この記事では、インプラント治療の「腫れ」や「痛み」について解説します。

インプラントとは?

インプラント 腫れ

歯科で「インプラント」といえば、失われた歯根に代えて人工歯根を顎の骨に埋め込み、それを土台にしてセラミック素材などで作った人工の歯を取り付けて欠損した歯を補う治療のことを指します。

一般的には単に「インプラント」と呼ばれていますが、正式名称は「口腔インプラント」または「歯科インプラント」です。

 

インプラントの治療内容

インプラント治療は虫歯治療や入れ歯やブリッジなどの失った歯の治療に比べて、長い期間を要することが多いです。

カウンセリング(インプラントの相談)からのインプラント治療の大まかな流れは、以下の通りとなります。

    • Step1:診査診断と治療プラン
    • Step2:インプラント手術
    • Step3 :人工歯の取り付け
    • Step4:インプラントのメンテナンス

詳細を解説いたします。

 

Step1:診査診断と治療プラン

模型やCTなどによる十分な診査と診断を行い、いくつかの治療プランが提案されます。

また、インプラント手術の内容、治療にかかる期間、費用について説明が行われるのもこの時です。

 

Step2:インプラント手術

歯を失った部分へインプラントを埋入する一回目の手術が行われます。

手術は、埋入する本数によっても異なりますが、1時間前後で終了です。

手術は局所麻酔をして行われるため痛みはありません。

笑気ガスなどの不安を和らげる麻酔も併用して行われます。

手術後には痛みが出ますが、1~2日程度で落ち着くことがほとんどです。

 

Step3 :人工歯の取り付け

一回目の手術の後、インプラントが顎の骨にしっかりと定着するまで、およそ2~6か月ほど待機期間があります。

その後、インプラントのヘッドの部分を歯肉の上へと露出させるための2回目の手術を行う場合もあるでしょう。

インプラントの上に土台を取り付け、その上にセラミック素材などで作られた人工歯を取り付けます。

 

Step4:インプラントのメンテナンス

インプラントは装着して終わりではありません。

正しいホームケアを行うとともに、定期的に歯科クリニックにて専門的なケアを行うことが重要です。

インプラントを長く、良い状態で使い続けるために、3~6か月に1回は定期健診とメンテナンスケアを行いましょう。

 

インプラント治療の痛み

インプラント 腫れ

痛みの感じ方には大きな個人差があります。

あらかじめどんな場面で痛みを感じるポイントがあるかを把握しておくと心構えができるため、気分も変わってくるでしょう。

インプラント治療を行う際には、どんな痛みが想定される場面があるのかについて解説します。

 

麻酔をする痛み

まず考えられるのが麻酔をする痛みです。

インプラント手術の間には、歯茎に局所麻酔をします。

局所麻酔は通常の虫歯治療の際に使用する注射の麻酔と同じものが使われますが、麻酔の注射自体が苦手で痛みを感じる方も少なくありません。

なるべく痛みを感じないようにできる限りの工夫は行われますが、人によっては痛みを強く感じるでしょう。

 

手術による痛み

通常、麻酔が効いていれば手術の際に痛みを感じることはありません。

麻酔の効きが悪い場合でも追加できるので、安心していただいて大丈夫でしょう。

しかしインプラントの手術では骨を削るので、その際の振動を感じたり、押される感じがしたりすることがあります。

手術に対して恐れや不安があるとそれもストレスとなって、思ったよりも痛みに対して敏感になるかもしれません。

不安感がぬぐえないなど、心配がある場合は手術前に歯科医師に相談してみましょう。

 

手術後の痛み

インプラントの手術後に麻酔が切れると、抜歯した時のような痛みが出てくるでしょう。

インプラントの本数が多かったり、骨造成手術を行ったりした場合は、より痛みが強く出る恐れがあります。

痛み止めが処方されますので、出された痛み止めを服用すれば、次第に痛みは落ち着いてくるはずです。

1~3日ほどで落ち着いてくることがほとんどなので、あまり心配しすぎないようにしてください。

ただし、3日経っても強い痛みがおさまらない場合には、歯科医師に連絡してみましょう。

 

インプラント治療の腫れ

インプラント 腫れ

インプラントの治療では多かれ少なかれ腫れが発生します。

多くの場合、手術を行った組織が傷を治すために反応して腫れを引き起こしているので、心配しなくても大丈夫です。

どんな時に腫れるのか、どのくらい腫れるのかについて解説します。

 

腫れに伴う痛み

インプラントの手術では歯茎を切開し、骨を削り、インプラントを埋入するため、歯肉の腫れや出血を伴うのが一般的です。

組織を切ったり、削ったりするのですから痛みが出ますし、腫れも伴います。

 

腫れる期間

インプラント手術後の強い痛みは1~3日ほどで落ち着いてきますが、腫れはもう少し続きます

腫れも個人差はありますが、数日~2週間ほどでおさまってくることがほとんどです。

 

手術直後の腫れ

手術直後の腫れは、手術による歯茎の切開や骨を削ったことが原因であり、正常な反応なので心配ありません。

違和感があったり、痛みがあったりと落ち着かない状態でしょう。

汚れや細菌からご自身を守るためにも、口腔内を衛生的に良い状態を保てるようにケアを行ってください。

 

治療完了後の腫れ

インプラントの治療からだいぶ期間が経っても腫れや違和感がおさまらない場合、インプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎といった炎症を引き起こしている可能性が考えられます。

インプラント周囲炎は進行のレベルによって「軽度・中度~重度・重度以上」の三段階です。

炎症が進んでいくと、最悪の場合には骨が溶けてしまう可能性があります。

インプラントにぐらつきや脱落が出ることもありますので、早めに医師に相談してください。

炎症の予防対策として効果的なのは、清潔な口腔内を維持することです。

日々の歯磨きでセルフケアを行い、定期的な歯科でのメンテナンスで腫れが起きないように守っていきましょう。

 

腫れや痛みがひかないとき

インプラント 腫れ

インプラント治療後に強い腫れが落ち着かない場合、インプラントの結合がうまくいっていない可能性や細菌に感染してしまった可能性があります。

腫れが引かないときに考えられる理由も見ていきましょう。

 

●細菌による感染

手術中や手術後に患部が衛生的に悪い状態になると、細菌に感染してしまい腫れや痛みを引き起こす可能性があるでしょう。

口の中には、300~700種類の細菌が生息しているといわれます。

カンジダ菌・黄色ブドウ球菌・緑膿菌・肺炎桿菌など、たくさんの細菌が混在している状態です。

そのため、インプラントの手術では常に細菌に感染するリスクが伴います。

また、免疫力が低下すると最近は増殖してしまいますので、体調への注意が必要です。

細菌は口蓋や舌の表面にも潜んでいますので、歯だけでなく舌や粘膜の清掃もしっかり行うように心がけましょう。

 

●外科的なダメージが大きいとき

外科的なダメージが大きいときも、腫れや痛みが引かなくなる可能性があるでしょう。

手術による組織へのダメージは、医師のの技術によって大きく影響が異なります。

考えられるのが、インプラントの治療経験や手術実績に乏しい場合や、適切な準備がされていない場合などの外的要因です。

必要以上に歯茎や顎への外科的なダメージを与えてしまうことがあれば、手術後の回復にも影響を及ぼし、腫れや痛みも長引くことになります。

 

●骨のやけど

インプラントの手術では、顎の骨にインプラントを埋め込むために専用のドリルを使用します。

このドリルの取扱いが不適切だとオーバーヒートを引き起こし、顎の骨にやけどを生じる場合もあるのです。

顎の骨にやけどを負った場合、腫れや痛みが長引くことになります。

 

インプラントの腫れや痛みを軽減する方法

インプラント 腫れ

腫れや痛みが生じたら、なるべく早く落ち着かせたいものです。

そこでインプラント治療の際に生じた腫れや痛みを軽減する方法について解説します。

 

傷口をさわらない

腫れや痛みがあって傷口が気になっても、舌や指でさわらないことが大切です。

健康な人でも、舌の表面や粘膜には数百万もの細菌が棲んでいるといわれています。

無意識に舌で触ってしまわないように注意しましょう。

 

口腔内を清潔に保つ

腫れや痛みを軽減するためにも、口腔内は清潔に保ちましょう。

口腔内が不潔になると細菌に感染する危険性が大きくなります。

インプラント手術直後は手術部位を避けて通常通りの歯磨きを行ってください。

手術部位の周辺は汚れが残らないよう軽くゆすぐなどをして食べカスを取り除きましょう。

細菌を増やさないためにも口腔内のケアをしっかり行うことが大切です。

 

処方された薬を指示どおり服用する

インプラントの手術後には、消炎鎮痛剤や感染予防のための抗生物質といった薬が処方されます。

鎮痛剤は痛みが落ち着いてきたら服用しなくてもよいでしょう。

しかし抗生物質は腫れや痛みに関係なく指示された期間は必ず服用してください。

もし処方された薬を服用しても症状が引かない等、異変を感じたら早めに歯科医院に相談しましょう。

 

飲酒や喫煙は控える

飲酒は痛みや傷の腫れを大きくしてしまう可能性があるため、少なくとも手術後3日程度は控えます。

喫煙は傷の治りを悪くするほか、インプラントと骨がうまく結合しない原因にもなりかねないため、手術後は控えるようにしましょう。

喫煙に関しては、手術後でなくともインプラントを早く駄目にしてしまうリスクがあるため注意が必要です。

インプラントを長持ちさせたいと考えるのであれば、健康のためにも禁煙することをおすすめします。

 

運動や入浴を控える

手術後は運動や入浴を控えるのも大切です。

激しい運動・熱い湯船・長風呂は全身の血行がよくなります。

血流が増えると患部の腫れや痛み、出血につながるため、インプラントの手術後3日程度は控えるようにしましょう。

 

自分でできる「腫れ」や「痛み」の対処法

インプラント 腫れ

インプラント手術後の痛みや腫れを早く落ち着かせることができるよう、セルフケアでできる対策を紹介します。

腫れや痛みを感じたら、ぜひ試してみてください。

 

患部を冷やす

痛みや腫れを感じているときの患部は、強い炎症反応が起こっている状態です。

特に手術を終えた日は、痛みや腫れが強く出る傾向がありますので、できるだけ冷やすようにすると効果的です。

冷やすときに直接氷をあてるのは良くないため、冷たい水を含ませたタオルなどで冷やすようにします。

ただし、手術を受けた翌日以降は、よほど腫れや痛みが強く出ていない限りは冷やさない方が良いので注意してください。

冷やしすぎるとかえって傷の治りを遅くしてしまう可能性があります。

 

硬いものを噛まない

インプラントの手術後は、しばらくの間は硬いものを噛まないよう注意が必要です。

インプラントの手術では顎の骨に穴を開けるなどの負担をかけています。

そこで食事にはおかゆや豆腐、ヨーグルトなどの柔らかいものを選び、少しでも顎の負担を軽くすると良いでしょう。

腫れや痛みが落ち着いてきたら、少しずつ普段の食事へと戻していくようにします。

 

刺激物を食べない

刺激物を食べないのも腫れや痛みの軽減につながります。

インプラントの手術後び刺激物を取ると治りが遅くなる可能性があるため、あまり良くありません。

しばらくの間は、香辛料などの刺激物・硬いもの・熱いものなどは避けることをおすすめします。

 

腫れや痛みが長引かないインプラント治療のために

インプラント 腫れ

本記事では、インプラント治療の際に生じる痛みや腫れの原因や、対処法について解説してきました。

インプラントの治療で痛みや腫れを最小限に抑えるには、外科的なダメージを最小限に抑えることがポイントです。

歯科用CTなどの精密検査に基づいて骨の形・重要な血管・神経の位置を正確に把握して精密な外科処置を行うことで、歯茎や顎の骨に与えるダメージを少なくすることが可能になります。

技術レベルの高い歯科医師ほど、ムダのない動きで正確な外科処置を施すことが可能です。

外科的なダメージを極力抑えてインプラント治療を受けたいと考えるならば、経験豊富な歯科医師に施術してもらいましょう。

また、術中・術後の細菌感染予防の観点からも、インプラント手術は衛生的な環境で実施することが重要になってきます。

手術器具の消毒や滅菌処理が徹底されていることはもちろん、インプラント専用の手術室が完備されていると安心です。

口腔内の健康、歯の健康は身体全体の健康の入り口といっても過言ではありません。

痛みや腫れをできるだけ避け、後悔しないインプラント治療を受けるためにも、信頼できる歯科医師に施術をお願いしましょう。

 

監修:理事長/齋藤和重